2007 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害解明に向けた基礎的研究:嚥下誘発における覚醒・睡眠の影響
Project/Area Number |
18209056
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 好秋 Niigata University, 医歯学系, 教授 (80115089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 博 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (50226114)
加藤 隆史 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助教授 (50367520)
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00303131)
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90272822)
大瀧 祥子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00377152)
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Keywords | 嚥下 / 咀嚼 / 睡眠 / 筋電図 / 介護 / 誤嚥 |
Research Abstract |
本研究は最近社会問題となっている高齢者の誤嚥の問題を解決するために計画された基礎研究である。特に覚醒状態が嚥下誘発におよぼす影響に注目して動物とヒトを対象とした2つの実験系を組み合わせている。 動物実験では上喉頭神経を電気刺激することで再現性の高い嚥下誘発が可能であるがヒトでは電気刺激の報告はない。我々は経鼻的電極設置方法を開発し咽頭の電気刺激で再現性のある嚥下誘発方法を開発した。この方法で刺激の最適パラメータを検索した結果、従来動物実験で求められた30Hzの連続刺激がヒトでも最適な刺激パラメータとして求められた。高齢者や臨床への応用においては、嚥下時に電極周囲が強く収縮するため、電極の位置を固定する方法の確立がさらに必要である。 ヒト睡眠時の嚥下活動を記録するため睡眠中の脳電図、眼球運動図、心電図、咬筋筋電図、オトガイ筋筋電図、顎二腹筋筋電図、鼻部の呼吸運動図、喉頭運動図を同時記録した。嚥下が呼吸運動のいずれの位相で誘発されるかを調べた結果、(1)嚥下は呼息相、吸息相のいずれでも生じていたが、(2)嚥下時の筋活動が強い場合には呼息相で、弱い場合には吸息相に観察されることが多かった。筋活動が嚥下時の食塊量に比例するか否かは議論のあるところであるが、呼吸と嚥下の相互作用において睡眠時には食塊量が影響する可能性が示唆された。 モルモットを使った実験では嚥下関連筋として閉口筋と開口筋活動を睡眠覚醒時に記録した。閉口筋では、睡眠中の咀嚼筋活動の平均活動量は覚醒時の20-30%まで低下するが、開口筋では10%程度まで減少した。また、閉口筋活動の変動量は開口筋に比べ、約2倍高かった。さらに、同一の時間区間における両筋の活動量の比率は、咀嚼や飲水時は一定範囲内で安定するが、ノンレム睡眠・レム睡眠ではばらつきが多かった。嚥下に関連する筋群において睡眠中発生する筋活動には筋種間に差があることが示唆された。
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Research Products
(27 results)