2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・根尖部歯周組織の創傷治癒メカニズムの解明と再生療法への応用
Project/Area Number |
18209057
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉嶺 嘉人 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (80183705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 知昭 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (50265005)
柴 秀樹 広島大学, 歯学研究院, 助教授 (60260668)
川島 伸之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)総合研究科, COE特任教員 (60272605)
徳田 雅行 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20253891)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯(薬)総合研究科, 教授 (50226768)
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Keywords | 歯髄 / 根尖部歯周組織 / 創傷治癒 / 再生療法 |
Research Abstract |
現在までに、歯髄・根尖部歯周組織の創傷治癒メカニズムの解明に関して研究を行い、以下のような実績が得られた。 1)根尖性歯周炎における骨吸収は、根尖病変内に浸潤した各種免疫担当細胞より産生された種々のメディエーターにより破骨細胞が誘導された結果として惹起される。今回、ラット実験的根尖病変において、破骨細胞分化に中心的な役割を果たすと報告されているRANKLの動態を定量PCR法および免疫組織学的手法を用いて経時的に解析するとともに、RANKL発現を直接あるいは間接に修飾している種々のメディエーター発現について定量PCR法にて検討した。その結果、病変の拡大が開始される時期である露髄解放後2-3週において、明らかなRANKL発現の増加が認められた。同時にTNF-α、IL-1などの起炎症性サイトカインおよびIL-10といった抗炎症性サイトカインの発現の増加が観察され、RANKL発現にサイトカインネットワークが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 2)根尖性歯周炎の治癒過程に発現が変化する遺伝子を網羅的に解析することを目的として、ラット臼歯を切削・露髄させ根尖性歯周炎を誘導した。未治療群(炎症期)と根管充填群(治癒期)の組織をレントゲン画像および組織学的に検索し、根尖組織からRNAを回収してAffymetrixマイクロアレイにより遺伝子発現を網羅的に解析したところ次の結果を得た。炎症期で、203種の遺伝子発現量が有意に増加し、864種が減少した。炎症期に比較して治癒期で、133種の発現量が増加し、50種が減少した。上記のうち、代表的な遺伝子(IL-1a/b,caspase-8,defensin-a5など)の発現量および局在を定量PCRおよび免疫組織染色にて確認した。以上より、遺伝子発現プロファイルは、根尖性歯周炎の治癒診断に有用であると考えられる。 3)歯髄アポトーシスと歯髄細胞増殖・分化の関係および各種刺激が歯髄細胞に与える影響を明らかにする目的で、象牙芽細胞の特質を有した培養歯髄細胞株樹立と歯髄再生におけるb-FGFの関与を検討した。ラット歯髄から歯髄細胞株を樹立してその特徴を検討した、また、b-FGF徐放性ゼラチンハイドロゲル粒子をラット臼歯露髄部に移植後に組織観察を行った。その結果、象牙芽細胞の特性を示す歯髄細胞株を樹立できた。また、b-FGF徐放により修復象牙質形成とは異なる新生象牙質形成が誘導されることが明らかとなった。 4)根尖病巣の上皮化形成にアクアポーリン(AQP)が関与するのではという仮説のもと,摘出された根尖病巣組織のAQP発現の有無について調べた。タンパクを抽出し、ウェスタンブロットにてAQPタンパクの発現を確認した。また、採取した組織の切片を作製しAQP-1抗体にて免疫染色を行った。その結果、根尖病巣組織ではコントロールに比較してAQP-1の発現量が多く、コントロールに比較して上皮組織に多くのAQP-1陽性細胞が存在することが分かった。
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Research Products
(1 results)