2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・根尖部歯周組織の創傷治癒メカニズムの解明と再生療法への応用
Project/Area Number |
18209057
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉嶺 嘉人 Kyushu University, 歯学研究院, 准教授 (80183705)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 知昭 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (50265005)
柴 秀樹 広島大学, 病院, 講師 (60260668)
川島 伸之 東京医科歯齢大学, 医歯(薬)総合研究科, CEO特任教員 (60272605)
徳田 雅行 鹿児島大学医学部, 歯学部附属病院, 講師 (20253891)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯(薬)聡合研究科, 教授 (50226768)
|
Keywords | 歯髄 / 根尖部歯周組織 / 創傷治癒 / 再生療法 |
Research Abstract |
(1)現在の歯科医療では治療困難な傷害を受けた歯髄および根尖部歯周組織の再生療法を確立するという研究目的を達成するために、象牙芽細胞様細胞株樹立と露髄部へのFGF-2応用に関する研究を行なった結果、象牙芽細胞の形質を有する象牙芽細胞様細胞株が樹立され、FGF-2を露髄部で徐放することにより象牙質欠損部に再生象牙質形成が誘導されることが示された。(2)歯髄細胞におけるNotch関連遺伝子の発現と歯髄細胞分化におけるNotchシグナルの役割について検討した結果、歯髄細胞においては多様なNotch関連遺伝子の発現が認められた。また、歯髄細胞分化に伴いNotchシグナルの主要な転写調節因子であるHey1発現の抑制が認められたことから、歯髄細胞の分化・機能においてNotchシグナルは重要な働きを担っており、またHey1を介するシグナルは歯髄細胞分化を抑制する方向に働いているこどが明らかになった。(3)マウス象牙芽細胞の石灰化結節形成における炭酸ガスレーザーの効果を解明する研究を行なった結果、レーザー照射はHSP47(コラーゲン特異的シャペロン)の遺伝子およびタンパク質発現を24時間以内に誘導したことから、象牙芽細胞様細胞にコラーゲン産生に必須の役割を持つ熱ショックタンパク質であるHSP47の発現が誘導され、細胞によるコラーゲン産生量が増加し石灰化を促進することが示唆された。(4)ラットの実験的根尖病巣モデルを用いて根管治療中における遺伝子発現のプロファイリングを行なったところ、炎症期と治癒期においては上昇および下降する遺伝子群の数と種類が異なっていたことから、プロファイルは根尖病変の治癒過程を診断する上で有用であることが示唆された。(5)Nd:YAGレーザーの炎症抑制効果を明らかにすることを目的として、ヒト歯髄細胞を用いて炎症性サイトカイン(IL-6,IL-8)発現に及ぼす影響を調べた結果、ペプチドグリカン刺激によって誘導されるIL-6・IL-8のmRNA発現とタンパク質分子産生促進は、レーザー照射によって照射時間依存的に有意に抑制されたことからNd:YAGレーザー照射は細胞レベルで炎症抑制効果を有することが示唆された。 以上の結果は、歯髄・根尖部歯周組織の創傷治癒メカニズムの解明と再生療法への応用に向けた研究を促進すると考えられる。
|