2008 Fiscal Year Annual Research Report
早産児の顔面積変化率と脳血流からみた蔗糖とpacifierの鎮痛効果の実証研究
Project/Area Number |
18209063
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横尾 京子 Hiroshima University, 大学院・保健学研究科, 教授 (80230639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 さと子 広島大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (10254484)
藤本 紗央里 広島大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (90372698)
|
Keywords | 早産児 / 近赤外分光法(NIRS) / 脳血液量 / 顔面積変化率 / 蔗糖 / pacifier / NNS / 看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、早産児の採血時におけるpacifierの吸啜状態と痛み刺激への反応を顔面積変化率と脳血液量の観点から分析し、鎮痛効果を期待できる吸啜回数を明らかにし、その結果を基に、蔗糖の経口投与、甘味ありpacifier、甘味なしpacifierによる鎮痛効果を実証し、早産児の痛みの看護に役立てることである。平成20年度は、pacifierに関するデータ収集を継続し、さらに、採血時の鎮痛法として臨床に活用できる方法を提案することであった。分析の結果、次のことが明らかになった。 1)介入としての蔗糖の経口投与は、12%蔗糖を用いても「むせ」を誘発し、NIRSデータに影響を与えるため、試行を重ね、最終的には次のように行った:pacifierを口腔内に入れ穿刺前2分に、舌先端にシリンジで24%蔗糖0.1mlを5秒間で注入する。 2)穿刺後15秒間におけるNIRSデータ(総ヘモグロビン濃度の相対値)の平均値、最大顔面積変化率を3群間(C群:介入なし、P群:pacifierと水0.1ml、S群:pacifierと24%蔗糖0.1ml)で比較した。 3)最大顔面積変化率はC群=P群>S群であった。総ヘモグロビン濃度の相対値は、穿刺と同側(右)ではC群>P群>S群、対側(左)ではC群>P群=S群であった。これらの結果は、pacifierと蔗糖を用いたほうが、顔表情の変化や啼泣の程度はより少なく、脳血液量の変化もより少ない、言い換えると、穿刺という侵害受容性の刺激への反応がより少ないということである。 4)蔗糖を採血時の痛みの緩和に臨床的に用いる場合は、pacifierと併用し、穿刺2分前に24%蔗糖0.1mlを5秒間で与えることで、効果が期待できると考える。しかし、その効果を適切に評価することが不可欠である。
|
Research Products
(1 results)