2008 Fiscal Year Annual Research Report
チュルク諸語における固有と外来に関する総合的調査研究
Project/Area Number |
18251007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 智之 Kyushu University, 大学院・人文科学研究院, 教授 (30214993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄垣内 正弘 京都産業大学, 文化学部, 客員教授 (60025088)
林 徹 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20173015)
藤代 節 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (30249940)
栗林 裕 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30243447)
藤家 洋昭 大阪大学, 世界言語センター, 准教授 (90283837)
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Keywords | 固有語の表記法 / 借用語の表記法 / 『梵網経』の漢語 / 二言語使用 / カシュカイ語の統語法 / 現代トルコ語の形態統語的特徴 / カザフ語のアスペクト / チンギス・ナーマ |
Research Abstract |
チュルク諸語を主な対象として、個別言語における借用現象について、各自がフィールドワーク等を行なうと共に、4回の全体研究会を持った。うち2回は、ドイツから研究者を招いて言語接触などについて、講演会・公開研究会を行なった。また本研究グループのうちの4名が、トルコで行われた第14回国際トルコ語学会で、3年間の研究成果を発表した。以下は各自の研究実績である: 1久保は、満洲語、シベ語、ウイグル語に取り入れられた漢語からの借用語について研究した。満洲語において、同じ音の連続が、固有語と借用語で異なる表記法をとることを発見した。2つの国際学会で研究成果を発表した。 2.庄垣内は、ウイグル語文献研究として、スエーデン国立民族博物館所蔵の『阿毘達磨倶舎論』およびロシア科学アカデミー東洋文献研究所所蔵の『入阿毘達磨論注釈』のテキストを完成させた。さらにベルリン・トルファンコレクション所蔵のウイグル文字漢文仏典『梵網経』の漢語について考察した。 3.林は、ベルリン・クロイツベルク地区において、トルコ語・ドイツ語二言語使用の実態調査をおこなった。トルコの国際学会で発表後、ベルリンのデータとの比較のためのデータを収集した。 4.藤代は、極北のチュルク語であるドルガン語の言語使用の現況や文法語彙について、サンクトペテルブルグのロシア教育大学北方諸言語研究所のアルテミエフ教授と研究討議の機会をもち、文献資料収集を行った。 5.栗林は、カシュカイ語の統語法の特徴を取りまとめ、チュルク語南西グループ全体の中での位置づけを行った。現代トルコ語の形態統語的特徴について、日本語学の研究成果を参照しつつ、分析した。 6.藤家は、カザフ語においてアスペクトを表す4つの形式について、現地コンサルタントから得た言語データをもとに記述した結果、主体動作動詞、主体変化動詞の動詞の意味的特徴と、アスペクトを示す形式の組み合わせにより動作継続、結果継続などのアスペクト的意味が決まることが明らかになった。 7.菅原は、中期チュルク語による文献『チンギズ・ナーマ』の本文校閲を担当し出版した。15世紀ごろと推定されるウイグル文字による「頒詩」を取り上げ、テキストと註を執筆した。
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