2007 Fiscal Year Annual Research Report
河姆渡文化研究の再構築-余桃田螺山遺跡の学際的総合調査-
Project/Area Number |
18251009
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 慎一 Kanazawa University, 文学部, 准教授 (80237403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 三男 東北大学, 植物園, 教授 (80111483)
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00253807)
金原 正明 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (10335466)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
松井 章 奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (20157225)
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Keywords | 考古学 / 先史学 / 学際研究 / 河姆渡文化 / 田螺山遺跡 |
Research Abstract |
今年度は3度にわたり延べ21名が訪中し、計5週間を実地調査に費やした。調査の主体を占めるのは田螺山遺跡であるが、併せて関連遺跡の踏査等をも実施した。具体的には、水田址の発掘調査、各種出土遺物の観察・実測・写真撮影、木器・木製品の樹種同定、動物遺存体の同定、種実の同定、人骨・動物骨アイソトープ分析、土壌試料の花粉・珪藻・プラントオパール分析、土器付着炭化物の放射性炭素年代測定などからなる。これら一連の調査・分析から得られた主な成果は以下の通りである。 プラントオパール分析の結果、イネを栽培していたと考えられる面が少なくとも2面存在することが判明したことを受け試掘調査を実施したところ、河姆渡文化晩期併行層で畦畔らしき遺構を検出した。発掘面積の制限からその全体像を明らかにしえなかったため、翌年度に調査を続行することとした。 植物種実の定量分析を進めた結果、従来の予想に反して、採集された野生種実類の占める割合が極めて高いことが判明した。稲作文化とされる河姆渡文化像に大きく変更を迫ることとなった。 人骨および動物骨のアイソトープ分析の結果、当時の食餌内容において海産資源の占める比率が小さかったこと、また、イノシシからブタへの家畜化が完全には進行していなかったことが明らかとなった。 河姆渡文化前期の1点の木製円筒器がイチョウ製であると同定された。イチョウ製木製品としては世界で唯一の出土例であり、過去のイチョウの分布状態を考察する上で格好の材料を提供することとなった。
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Research Products
(5 results)