2006 Fiscal Year Annual Research Report
MOAII1.8m望遠鏡によるマイクロレンズ事象の探索
Project/Area Number |
18253002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 文雄 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (80184224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (80202323)
齋藤 敏治 東京都立産業技術高等専門学校, 教授 (40259833)
大西 浩次 長野工業高等専門学校, 助教授 (20290744)
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Keywords | 宇宙物理 / 天文 / 惑星起源・進化 / 惑星探索 |
Research Abstract |
平成18年度は、1.8m望遠鏡の2.2平方度の広視野を生かして、高いサンプリングの観測を実施する一方、リアルタイムの解析を実施し銀河中心方向のアラートを開始した。今年度は、168事象のリアルタイムアラートを出して世界中に観測を呼びかけた。観測した領域は、銀河中心で22フィールド、大マゼラン雲14フィールド、小マゼラン雲2フィールドである。サンプリングは、5-7月の銀河中心で10回/日だが、中心付近のマイクロレンズ事象の頻発する領域は、ほぼ50回/日の観測を実施した。これは、地球型惑星などによる短時間の変化を捉えるためである。マゼラン雲でも、従来に比べてサンプリングを増やす一方、周辺に比べて中心領域のサンプリングを上げる戦略をとった。これは、背景銀河の超新星の影響を排除する一方、有限ソース効果など距離の情報が得られる変化を効率よく検出するためである。 銀河中心方向の解析では、浮遊惑星と思われる1日程度のタイムスケールの事象候補が見つかり、韓国で行われたマイクロレンズ国際会議で発表した。木星質量のほぼ4倍の天体によって引き起こされたと考えられ、主星による変位は観測されていない。主星に付随しない浮遊惑星と確定すれば、史上初めてであり、惑星形成や銀河構造の研究上画期的な発見となる。今後さらにこうした事象の発見に努め、こうした天体の分布を決定したい。また、惑星候補や2重レンズ、高増光率など複数の特異事象が見つかり、現在解析中である。また、従来の61cm望遠鏡によるデータとあわせて銀河中心とマゼラン雲のデータベース作成が進行中である。 これらの観測・解析と平行して、シミュレーションによる望遠鏡の光学系の解析を行い、星像の改良に見通しをつけた。
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