2006 Fiscal Year Annual Research Report
複合的アプローチによる東南アジア熱帯島嶼の生物多様性の起源の解明
Project/Area Number |
18253007
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
加瀬 友喜 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 聡 東北大学, 生命科学研究科, 準教授 (10236812)
狩野 泰則 宮崎大学, 農学部, 助教 (20381056)
渡邊 剛 北海道大学, 理学(系)研究科, 講師 (80396283)
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Keywords | 多様性 / 東南アジア熱帯島嶼 / 進化 / 古生物地理 / 軟体動物 / 古環境 / 酸素安定同位体 / サンゴ礁 |
Research Abstract |
フィリピン・ルソン島カガヤン盆地とルソン中央盆地、レイテ島での調査をおこない、中新世以降の多くの未知の貝類化石群を見いだした。カガヤン盆地では新生代層序の再検討をおこない、中新世以降の層序を確立しつつある。この調査から、従来中新世前〜中期に限られていたマングローブ沼地性の代表的な巻貝であるビカリアが、中新世後期にまで伸びることを明らかにした。ルソン中央盆地では、層序の見直しを進める一方、鮮新世の豊富な貝類群を見いだし、多くのフィリピン固有の未知種を得た。現在それらの分類学的研究を進めているが、同時代のインドネシアの化石群と明瞭な動物群と異なりことが明らかになりつつあり、東南アジア熱帯島嶼の多様性起源の関係を追求している。またレイテ島では、中新世後期と鮮新世前期の地層から、世界で最も保存の良いメタン湧水起源の化学合成群集を見いだした。これは東南アジア地域で初めての化学合成群集の発見である。 東南アジア熱帯島嶼の古海洋環境変動史とサンゴ礁発達史を解明するため、ルソン中央盆地の鮮新世中期と完新世のサンゴ化石の酸素安定同位体の研究を進め、鮮新世中期のサンゴ化石から当時の約50年間分の詳細な海水温度変化を明らかにし、当時すでにエルニーニョ・ラニーニャ現象があり、しかも現在よりも短い間隔で発達していたことなど、いくつかの重要な新知見が得られた。 ルソン島中部のブラカン地方に分布する前期鮮新世後期のタルタロ層から得られたツキガイ科二枚貝の新属新種Bulacanites obtusiplicatusを記載した。大型のツキガイ科二枚貝はメタン湧水性化学合成群集に多く知られるが、産出した地層の堆積相と随伴する他の貝化石の解析から、この二枚貝は熱帯の潮間帯あるいは潮下帯に生息していたと明らかにした。
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[Journal Article] Potential of submarine-cave sediments and oxygen isotope composition of cavernicolous micro-bivalve as a late Holocene paleoenvironmental record2007
Author(s)
Kitamura, A., Yamamoto, N., Kase, T., Ohashi, S., Hiramoto, M., Fukusawa, H., Watanabe, T., Irino, T., Kojitani, H., Shimamura, M., Kawakami, I.
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Journal Title
Global and Planetary Changes 55
Pages: 301-316