2007 Fiscal Year Annual Research Report
複合的アプローチによる東南アジア熱帯島嗅の生物多様性の起源の解明
Project/Area Number |
18253007
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
加瀬 友喜 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 地学研究部, 研究主幹 (20124183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 聡 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (10236812)
狩野 泰則 宮崎大学, 農学部, 助教 (20381056)
渡邊 剛 北海道大学, 理学(系)研究科, 講師 (80396283)
栗原 行人 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 支援研究員 (10446578)
筒井 牧子 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 支援研究員 (00446577)
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Keywords | 東南アジア熱帯島嶼 / 軟体動物 / フィリピン / インドネシア / 新生代 / 多様性 / 冷湧水性化学合成群集 / 進化 |
Research Abstract |
ジャワ島中部ソンデ地域のカリベン層の貝化石群は、東南アジアの新生代後期のソンデ階の準模式地である。本研究では、ソンデ地域のカリベン層の貝化石の調査と試料収集、貝化石群の古生態の解析と浮遊性有孔虫による年代決定をおこない、この地域の貝化石群が3.95Ma〜3.58Ma、すなわち前;期鮮新世最後期あるいは後期鮮新世最前期であることを明らかにした。しかし、ソンデ地域の西南西約60kmのサンギラン地域ではカリベン層は鮮新世後期であるので、ソンデ貝化石群は時代的に幅があることが明らかとなった。 本研究で発見されたフィリピン・レイテ島の鮮新世前期の冷湧水性化学合成群集を再調査し、東南アジア初の冷湧水性化学合成群集であることを確認した。同群集はレイテ島北西部の海岸約10kmに渡って分布し、シロウリガイ群集、ツキガイモドキ群集、大型ツキ・ガイ科二枚貝のMeganodontia群集、キヌタレガイ群集など、現生冷湧水性化学合成群集の代表的な貝類群集が見いだされた。この発見は現生冷湧水性貝類群集の研究にも貢献するものである。すなわち、現生冷湧水性化学合成群集の研究は主に海底表層の試料に基づいており、一方レイテ島の化石群集は海底面下の化学合成貝類群集を示している。従って、この発見は現生冷湧水性化学合成群集の周辺の海底面下には様々な貝化石群集があることを暗示している。また、レイテ島及び日本列島から産出したスエモノガイ科のNipponothracia属の再検討し、それがツキガイ科に所属し、冷湧水性化学合成群集特有の二枚貝であることを示した。 東南アジアを含む熱帯インド・太平洋各地の海底洞窟産現生巻貝のコハクカノコガイ科巻貝を分類学的に検討し、4新属4新種を含む6属9種を見いだした。このような特異な環境に生息する巻貝でも、東南アジア熱帯島喚で種多様性が最大で、周辺地域に向かって減少することを明らかにした。
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