2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ最先端模擬大気チャンバーを用いたラジカル計測による大気反応機構解明
Project/Area Number |
18254001
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梶井 克純 Tokyo Metropolitan University, 大学院・都市環境科学研究科, 教授 (40211156)
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Keywords | OHラジカル / RO_2ラジカル / HO2ラジカル / N_2O_5 / 不均一反応 / 窒素酸化物除去量 / 陽子移動型質量分析 |
Research Abstract |
大気中のNOを酸化する過酸化ラジカル(HO2,RO2)の選択的分別計測を実現できるシステムを構築した。HO2の不均一反応の高い反応速度を利用して、反応管内部で選択的にHO2ラジカルを分解して計測する手法である。HO2とRO2のクロストークは10%なり、またΣROxの検出下限は5ppt(1分間の積算)の装置となった。非レーザー法によるOH反応性測定が可能なシステムの構築を行った。陽子移動型質量分析装置(PTRMS)により常時piroleの濃度をモニターできる状態を実現し、水蒸気の光分解で生成したOHラジカルを暴露することによりpiroleの減少分を測定する。さらにこの系に大気試料を導入するとOHラジカルはpiroleと大気試料中のVOCと競争反応を起こす。そこで、大気試料w導入した際のpiroleの減少分を解析することにより、大気中のOH反応性を見積もるという手法である。レーザーによるポンプ・プローブ法によるOH反応性の相互比較を行い、良好な直線性が得られたことから、本手法の実用性が立証された。N_2O_5とエアロゾルの大気化学計測を首都大キャンパス(東京都八王子市南大沢)において行い、夜間のNOxの化学動態について検討した。接地境界層の発達する冬季の深夜でNO濃度が極端に低くまたオゾン濃度が10ppb程度以上存在する場合、N2O5の暫減傾向に対し、ナイトレートの明確な増加が確認された。また、その際のエアロゾルの粒径分布では400nmより大きな粒子が成長していることが明らかとなり、NOxがオゾンにより酸化されN2O5を経由してエアロゾル表面で硝酸となる過程を直接とらえることができ、夜間の窒素酸化物除去量にっいて定量的な解析に踏み込める可能性を示した。
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