2008 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル草原の人工構造物が絶滅危惧有蹄類の生息地を分断化する影響の評価
Project/Area Number |
18255002
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
恒川 篤史 Tottori University, 乾燥地研究センター, 教授 (60227452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 雅人 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (30211957)
伊藤 健彦 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教 (50403374)
實方 剛 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20205991)
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Keywords | モンゴル / モウコガゼル / アジアノロバ / 衛星追跡 / 季節移動 / 絶滅危惧種 / 保全 / 環境影響評価 |
Research Abstract |
前年度までに衛星追跡を開始した野生有蹄類個体が利用した、モンゴル中部の草原・ゴビ地域において、すでに死亡したと推定された個体の発信機回収を、2008年5-6月におこなった。発信機の電池寿命はモウコガゼル用で約2年半であるため、回収し電源を切ることにより、別個体への再装着が可能となる。同時に野生有蹄類生息地に暮らす遊牧民への、ここ数年の野生動物生息状況や気象・植生状況に関する聞き取り調査もおこなった。 2008年8-9月には、モンゴル南部のゴビ地帯を中心に植生調査を行った。複数年継続して植生状態を調査することにより、気象条件と植生状態の関係の解析や、気象条件の年変動が野生動物の生息地選択へ及ぼす影響を解析できる。 2007年度に追跡を開始した個体の位置データ解析により、モウコガゼルとアジアノロバの移動パターンや生息地の選好性に違いがあることが示唆された。これら点は両種への保全対策を考慮する上で、また同所的に生息する異なる体サイズの有蹄類の生息地選択メカニズムや、移動パターン・要因を解明する上で重要である。また、国際鉄道だけでなく、モンゴル・中国国境も移動の障害になっていることが示されている。 現在も継続的に位置データを入手中であり、衛星画像や現地調査による気象・植生データとの対応関係を解析中である。鉄道の東西の遺伝的分化や生息地全域の遺伝的多様性の分析も進めている。 2008年6-8月にはモンゴル自然史博物館にて本研究の目的や成果を展示し、モンゴル国民やモンゴルを訪れる観光客へ、野生動物や生息地保全の重要性を訴える機会を得ることもできた。
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Research Products
(11 results)