2009 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル草原の人工構造物が絶滅危惧有蹄類の生息地を分断化する影響の評価
Project/Area Number |
18255002
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
恒川 篤史 Tottori University, 乾燥地研究センター, 教授 (60227452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 雅人 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (30211957)
伊藤 健彦 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教 (50403374)
實方 剛 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20205991)
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Keywords | モンゴル / モウコガゼル / アジアノロバ / 衛星追跡 / 季節移動 / 絶滅危惧種 / 保全 / 環境影響評価 |
Research Abstract |
2009年8-9月に、モンゴル中南部の草原・ゴビ地域において、前年度までに衛星追跡を開始したモウコガゼルとアジアノロバが利用した地域の植生・土壌等の環境調査をおこなった。同地域では前年にも同様の調査を実施しており、複数年継続して植生状態を調査することにより、気象条件と植生状態の関係の解析や、気象条件の年変動が野生動物の生息地選択へ及ぼす影響を解析できる。 追跡個体の位置データ、衛星画像から得られる植生指数、現地観測や気象局等から得られる気象データの解析から、1)国際鉄道両側で捕獲した追跡個体は鉄道に接近することはあったが、鉄道を越えなかったこと、2)中国との国境に接近した個体はあったが、国境は越えなかったこと、3)気象条件が植生・土壌水分に及ぼす影響、4)モウコガゼルとアジアノロバの移動パターンや生息地の選好性の違い、5)モウコガゼルの長距離移動開始時期と植生指数の関係、等を明らかにした。 これらは両種への保全対策を考慮する上で、また同所的に生息する異なる体サイズの有蹄類の生息地選択メカニズムや、移動パターン・要因を解明する上で重要である。特に、鉄道・国境が野生動物の移動の障害になっていることが明らかになったことは、現在同地域で進行中の新規の鉄道・舗装道路建設の際に、野生動物用通路等の必要性や、そのための科学的調査の重要性を示している。 多くの追跡個体で2年間以上の位置データが取得でき、一部の個体は、現在も追跡中である。これらのデータは、気象条件の年変動と野生動物の移動や生息地選択の関係等の解析に今後の利用される予定である。
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Research Products
(15 results)