2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケニア、ナカリにおける後期中新世類人猿の発掘:系統、適応、古環境の解明
Project/Area Number |
18255006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中務 真人 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00227828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
仲谷 英夫 鹿児島大学, 理学部, 教授 (20180424)
酒井 哲也 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (90303809)
澤田 順弘 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80196328)
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Keywords | 人類進化 / アフリカ / 化石 / ヒト上科 / 狭鼻猿 / オナガザル / 古生物 / 古環境 |
Research Abstract |
近年、600万年をさかのぼる化石人類が発見されつつあるが、人類とアフリカ類人猿の最後の共通祖先像は、化石証拠の欠落のため未だ謎である。しかしながら、申請者らは2005年、1000万年前の大型類人猿の下顎骨と遊離歯、小型類人猿の顎骨をケニアのナカリ地域で発見した。これら霊長類の同定、新種記載、そして古環境の解明のため、2007年8月、ナカリ地域で現地調査を行った。調査内容は、化石サイトの発掘、花粉資料の採集、堆積学的分析、年代測定のための資料採集である。現地調査の後、ナイロビのケニア国立博物館で資料の整理と分析を行った。年代測定のための資料は、日本に輸送し、島根大学で分析を行った。発掘により、新たに200点あまりの化石資料が収集され、霊長類標本はほぼ倍増した。この中には、少なくとも2種類の大型類人猿、2種類の小型類人猿(非オナガザル科小型狭鼻猿類)、1種以上のオナガザル科霊長類が含まれる。年代については、990万から980万年前と決定できた。大型類人猿は、これまで知られていた唯一の同時代アフリカ類人猿サンブルピテクスとは明らかに異なり、新種であることが明らかになった。小型類人猿についても、既知の種の中には類似したものがおらず、新属であると考えられる。これらの新種記載については、現在、論文をとりまとめている。オナガザル科霊長類については、マイクロコロブス属であることがわかったが、種レベルでは、現在同定を検討中である。共伴する動物相からは、オープンな環境と森林環境の両方の要素が示唆されるが、全体的に見て、湖辺林(河辺林)のような環境の可能性が高い。堆積学的検討からも、こうした推定を支持する材料が得られた。
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