2006 Fiscal Year Annual Research Report
大域的ノルムを用いた幾何データ処理最適化理論の構築
Project/Area Number |
18300001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 豪 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (40312631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 哲夫 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90113133)
全 眞嬉 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助手 (80431550)
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Keywords | 計算幾何学 / データ近似 / 最適化理論 / アルゴリズム理論 |
Research Abstract |
従来、計算幾何学での図形近似理論では主にハウスドルフ距離や最大垂直距離(L_∞距離)などの最大距離を最小化する基準(最大値最小化基準)をもとに構築されている。しかし、最大値最小化基準では出力の任意性があり、測定エラーに弱いという弱点があり、応用によっては十分な近似が行われないという問題点があった。その点、例えばLp距離等の積分型の大域的距離は誤測定に対して頑健であり、多くの応用において図形の大域的性質をよりよく近似できる。 一方、関数近似は数学・工学・自然科学のすべての分野で基本的な作業である。解析的な手法が数多く発明され、無数の応用を生んできた。多くの場合、これらの近似は、関数空間をBanach空間として見た時の低次元部分多様体への射影であり、精度の基準としては、関数空間の(積分型)ノルムを用いている。しかしここでは、出力の幾何学的形状については直接的な指定はできず、関数空間での複雑度や射影される部分空間の性質を指標にする。 本研究では、この2つの考え方を融合し、出力の幾何学的形状を計算幾何学的な離散構造で指定し、一方で精度基準として積分型ノルム等の大域的尺度を扱える最適化理論を構築する。 18年度には、特に入力を点集合または離散的に与えた1変数または2変数の区分線形関数の軌跡に絞り、出力形状のピーク数や位相的・離散的性質を出力の品質要求として与え、最適化理論を研究した。 成果としては、 (1)与えられた点集合を最適に近似する折れ線(区分線形関数)を求めるアルゴリズムを開発した(国際専門誌IJCGAに掲載) (2)区分線形関数の単峰近似、多峰近似に対する総括的な理論をまとめ、電子情報通信学会誌に掲載した (3)さまざまの幾何学データ処理の基本になるボロノイ図の一般化や変種について研究し、格式高い国際学会STOCで発表を行った (4)具体的な実用問題への応用として、アドホックネットワークの通信混雑度の最小化問題に上記幾何学データ処理手法を用いて新しい改良を与えた。
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