2007 Fiscal Year Annual Research Report
GPGPUアルゴリズムの計算モデルの構築と医用画像処理への適用に関する研究
Project/Area Number |
18300009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩原 兼一 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (00133140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊野 文彦 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (90346172)
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Keywords | GPGPU / OpenGL / CUDA / コーンビームCT再構成画像 / 配列アライメント / 実時間処理 / 全点対最短経路問題 / メモリネック |
Research Abstract |
本研究目的は,PCクラスタで高速化されている医用画像処理問題を,GPU装備のPC1台でどの程度対抗できるかを解明することである. コームビームCTの再構成画像作成のGPGPUプログラムを,従来のOpenGLとCgを用いた実装とCUDAを用いた実装で開発した.512×512画素からなる投影像360枚に対して512×512×512ボクセルのボリュームを再構成するための実行時間は,前者で8.3秒,後者で5.7秒である.前者の実装はCPUでの計算時間より23.7倍高速(すなわち,少なくとも24台構成のPCクラスタと対等な性能)であり,コームビームCT装置が1台のPCで十分な実時間性能を持たせることに成功した.このアルゴリズムを用いたコームビームCT装置は2008年3月に(株)島津製作所から販売される. CPUでの計算時間がかかる応用問題は,よく「計算ネック」と言われ,CPUの演算速度がボトルネックとの印象を世の中に与えるが,そのような応用問題の中でも,実は「メモリネック」と称した方が適切であるものが少なくない.昨年度の成果である,GPGPUの性能モデルで検討した結果,メモリネックな応用問題はGPGPUで高速化できる可能性が高いことが確信できた. コームビームCTの再構成画像作成問題の他には,バイオ分野で有用な配列アライメント問題,およびグラフ理論の全点対間最短経路問題をCUDAで実装した.前者は,クエリ長が1024の場合,約20秒(CPUでは約677秒)と十分に高速化できた.クエリ長1024は,アミノ酸を対象とする場合には十分なデータ量であり,製薬関係の研究に貢献できる.
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