Research Abstract |
平成19年度の実験計画・方法に対応させて内容を示す. 1.被験者による絵文字の書き方の差異 絵文字で3種類の質問を行い,それに対して絵文字で答える実験を行った(被験者は日本人10人,外国人11人).SVO型で質問されたとき,59%の日本人は同じSVO型で答え,27%はSOV型,その他型(例えば同じ絵文字を2度書く等)は14%であった.SOV型で質問されたとき,日本人の55%は同じSOV型で答え,SVO型は27%,その他型は18%であった.一方,外国人はSOV型の質問に対して,33%はSVO型,27%はSOV型,そして,40%がその他型であった.SOV型で質問したとき,47%はSOV型,7%はSVO型,そして実に47%はその他型となった.外国人は絵文字の使用にそれほど親しくなく,彼らの文章作成を支援する機能が必要であるということを明らかにした. 2.開発した簡易型の絵文字チャットシステム(80個の絵文字を使用)をもとに改良を加え,本格的な仮説実証実験用絵文字チャットシステムを開発する 文章作成支援を行う履歴機能と入力予測機能を設け,550種類の絵文字を使用できる絵文字チャットシステムを開発した.履歴機能は,履歴タブにシステムを実行してからユーザに使用された全ての絵文字を新着順に最大77個表示する.このタブから絵文字を直接選択でき,直前の相手の発話内容を使用するなど素早い返事が可能となる. 3.実証実験と対比実験を行う 小型PCに絵文字チャットシステムを実装し,予備実験を3回行ったのち,日本人と外国人との間の絵文字のみでのコミュニケーションの実験を,日本と北京で合計8回行った.その結果,以下のことがわかった.1)平均の理解度は85%(従来のシステムでは77%).2)30分間の平均のチャットの行数は38行(従来のシステムでは平均26行).3)履歴機能(履歴タブ)の使用は19%. 簡単な会話が対象であり,100%の理解度ではないが,この理解度は十分満足に値すると考えられる.
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