2006 Fiscal Year Annual Research Report
音環境の情報処理系としての聴覚末梢・中枢系の統合的理解の研究
Project/Area Number |
18300050
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舘野 高 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (00314401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 泰伸 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50283734)
下川 哲也 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教授 (30335385)
|
Keywords | 多電極アレイ / 聴覚野 / 高頻度発火 / 神経細胞 |
Research Abstract |
本研究では、モデル動物系(ラットなどの齧歯類)を用いて、末梢から中枢系に到る神経経路で、聴覚情報処理における背景雑音のもつ影響を、主に電気生理学的手法を用いて調べることを目的としている。特に、神経活動の測定では、多点電極アレイ基板技術を応用し、聴覚現象が聴覚経路のどの部位で、どの様な神経回路網の処理の結果として生じるのかを神経符号化の観点から理解することを目指している。また、アセチルコリンなどの神経伝達物質の働きに注目して、複数の測定アプローチとデータ解析手法を用いて、聴覚における神経修飾の詳細を解明する。 本年度は、具体的に、以下の項目を達成した。(1)本年度は研究計画の初年度にあたる為に、まず、神経活動の電気的活動計測の為の測定系を構築した。特に、聴覚情報処理経路における多電極アレイを用いた多点神経活動計測系の構築を行った。(2)また、単一神経細胞のレベルでの神経符号化を理解する為に、パッチクランプ法を用いて一次聴覚野の神経細胞活動を記録する測定系を構築した。(1)、および、(2)の測定系を用いて、一次聴覚野の錐体細胞と抑制性の介在細胞から、電気的な神経活動の計測が可能となった。この計測系を用いて、特に、200-300Hzの高周波数の入力信号に同期的に発火可能なfast spiking細胞と呼ばれる細胞の入出力特性を調べた。この結果、Kv3チャネルと呼ばれるカリウムチャネルが高頻度発火を可能にするには、重要な役割を果たしていることが薬理的阻害剤を用いることで明らかになった。また、神経細胞の入出力関係は、大凡、2次の非線形性を持ち、Dynamic-linear and static-nonlinearモデルによって近似的に表現できることが判った。
|
Research Products
(3 results)