Research Abstract |
半構造集合知であるWikipediaとフォークソノミィから領域オントロジーを構築するツールを開発し評価した. Wikipediaマイニング,スクレイピングによるclass-instance関係抽出, Infoboxトリプル(プロパティ,定義域,値域)の抽出などの技法を考案し,1,030,444個の関連関係,331,535個のインスタンス,9,970個のIS-A関係,511,146個のInfoboxトリプルなどの情報を抽出し,90%を超える精度を達成することができた.さらに,フォクソノミィタグとドキュメントの関連性を計算し,IT専門用語55語と化学専門用語116語に対して付与されているフォクソノミィタグの抽出を行った結果,IT領域では267の関連性,化学領域では3,999の関連性が抽出され,IT領域では61%,化学領域では100%の高い抽出精度を達成できた. 以上のツールを利用しながら,電力会社における停止調整業務というスケジューリング業務をモデルケースとして,知識継承への適用可能性について評価した.設備オントロジー,作業オントロジー,ルール間の関連性を言及したルールオントロジーを利用して,OJTにより教育された新人とオントロジーとスケジューリングルールシステムにより教育された新人を同一問題により評価したところ,オントロジーだけで教育された新人は,約1/4の時間で同程度の能力に到達できることが確認できた.さらに,ルールオントロジーの新たな効用として,経営方針レベルの概念が現場(スケジューリング)レベルの概念に展開された一種のゴール分析木になっており,経営方針の変更を現場レベルの変更に即座に反映できることが確認できた.これは,ルールオントロジーが,経営と現場を結びつけることに貢献したことになり,アジャイル経営に貢献できることを示したといえる.
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