2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18300089
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 むつみ Keio University, 環境情報学部, 教授 (60255601)
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Keywords | 認知心理学 / 言語発達 / 語彙学習 / 語意推論 / 異言語比較 |
Research Abstract |
本研究は、乳幼児において観察される効果的な語彙の学習にみられる柔軟かつ自己生成的な学習過程が具体的にどのような内部メカニズムによって産み出されてくるかを解明することを目的とする。今年度は乳幼児の語意学習をブートストラップする要因として、音象徴性の担う役割について検討した。具体的には日本語・英語を母語とする子どもが音象徴性を動詞語意推論の手がかりに使えるのかを行動実験により検討し、擬態語を始めとする音象徴性語彙が豊富な日本人幼児だけではなく、擬態語を持たない英語を母語とする英国人幼児も音象徴性を動詞語意推論の手がかりとして用いることができるという知見をえた。さらに、アクションの名前だけではなく、触角を表す語の学習に音象徴性が有効か否かも検討し、3歳、5歳児ともに音象徴性があると語彙学習に成功し、音象徴性が存在しないと学習ができないことがわかった。また、音象徴性への敏感性がいつごろから見られるのかを検討するため、言語発話以前の段階にある12カ月乳児が形のラベルの音の間の音象徴性に気づくかどうかを調べる脳波計測実験を開始した。現在データ取得が半分程度終了したが、12か月の時点で音と形の間の象徴性が理解できることを示唆するデータが得られている。動詞学習に関してはChild Developmentに論文が受理され、英語児のデータについては現在投稿中である。
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