2007 Fiscal Year Annual Research Report
大規模代謝・遺伝子ネットワークのダイナミックシミュレーションとシステム解析
Project/Area Number |
18300098
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉田 博之 Kyushu Institute of Technology, 情報工学部, 教授 (90251371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和幸 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (00150318)
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Keywords | バイオインフォマティクス / アンモニア同化 / シミュレーション / システムバイオロジ / ロバストネス / ネットワーク / 大腸菌 |
Research Abstract |
大腸菌の窒素同化システムの動的モデルを開発して、シミュレーションやシステム解析をすることにより環境中のアンモニア濃度の変化に対してシステム(GSやNRIのタンパク質)がヒステリシスを示すことを予測した。このヒステリシス挙動がポジティブフィードバック制御に起因することを、シンプルモデルを用いた理論解析により明らかにした。シンプルモデルにおいて立式した3次方程式を解くことによって、システムが複数の定常解を示すアンモニア濃度範囲があることがわかった。また、ポジティブフィードバック制御を強くすると、複数の定常解を示すアンモニアの濃度範囲が拡大し、逆に弱くすると、定常解が1つになることを示した。以上からポジティブフィードバック制御が、ヒステリシスを生み出すメカニズムであることが明らかになった。 また、システムのロバストネスを調べるために、各速度パラメータに摂動を与えて、細胞内の窒素濃度と炭素濃度のバランスを調べた。GSの合成に関わる速度パラメータの変化に対して、そのバランスは比較的大きく変化したが、そのほかの速度パラメータ変化に対してはロバストであった。窒素同化システムは、ロバストな部分とファインチューンの部分がはっきりと分かれていることがわかった。ロバストな部分は、環境からの選択圧が強く、そのようなロバストネスを生み出す必要があったと思われるが、ファインチューンな部分は、環境からの選択圧が弱いことがわかる。このような性質の分離から、システムが何を目的に設計されているのかが明らかになった。
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