2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18300099
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡 浩太郎 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10276412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 耕司 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (80407147)
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Keywords | 生体・生命情報学 / 神経科学 / 生物物理 / シミュレーション工学 / 可視化 |
Research Abstract |
シナプス前部からのシナプス小胞放出のメカニズムを定量的に理解するためのシステム生物学的研究を多重蛍光イメージングと計算機シミュレーションの双方から行なった。PC12細胞を試料として用い、高濃度KC1またはアデノシン三リン酸の投与によって細胞内カルシウム濃度を上昇させた時に生じるシナプス小胞の開口放出現象を多重蛍光観察が可能な近接場顕微鏡により可視化し、シミュレーションに資するような定量的データを取得するための条件を検討した。小胞を細胞膜親和性の高い蛍光色素FM1-43で個別に蛍光ラベルして可視化し、開口放出を確認した。また細胞膜と小胞との位置関係を厳密に調べるため、細胞膜および小胞に特異的に発現しているタンパク質についてそれぞれ蛍光タンパク質によるラベルを行ない可視化するための準備を進めた。また細胞膜と小胞をまったく同時にイメージングするための光学系と後処理のための画像解析プログラムを開発した。 計算機シミュレーションに関しては、シナプス小胞の放出過程を複数のステップに分割し、そのステップ間の遷移に確率過程を導入したGillespie法およびモンテカルロ法によるシミュレーションを検討し、幾つかのモデルについて実際に刺激後の開口放出現象を再現できるかを調べた。具体的にはシナプス小胞がシナプス前部で種々の生物化学的修飾を受けるプロセスを5または6段階に分割し、過去に実験で得られたPC12細胞での小胞放出過程を再現できるように、遷移確率等を遺伝的アルゴリズム等を利用して最適化することを試みた。また細胞膜に融合している小胞にさらに小胞が融合する2次融合過程を導入することが、計算機シミュレーションを実験結果と合わせるために有効であるという知見を得た。
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Research Products
(2 results)