2006 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸脱炭酸酵素の遺伝子改変マウスを利用したGABA神経伝達機構の研究
Project/Area Number |
18300102
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳川 右千夫 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90202366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 利和 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (50375531)
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Keywords | GABA / グルタミン酸脱炭酸酵素 / ノックアウトマウス / GAD67 / GAD65 / 口蓋裂 |
Research Abstract |
GABAは、神経系における主要な抑制性伝達物質として神経の電位活動の制御に加えて、覚醒、睡眠、概日リズムや学習、運動、感覚情報処理など脳の機能を構築する上で中心的役割を果たしている。GABAは、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD ; GAD65,GAD67の2型存在)によって合成される。本研究では、GAD遺伝子の誘導型ノックアウトマウスの作成を目指した。また、完全型ノックアウトマウスを用いて、網膜、胎児の腹壁形成と口蓋形成におけるGAD65,GAD67の役割について検討した。 GAD67遺伝子完全ノックアウトマウスは、出生日に死亡するので、アダルトでのGAD67の機能が不明である。従って、tetracycline-controlled transactivator(tTA)システムを利用した誘導型GAD67ノックアウトマウスの作成を目指した。誘導型GAD67ノックアウトマウスの作成には、GAD67遺伝子にtTA2をノックインした遺伝子改変マウス(GAD67-tTA2マウス)が必要である。GAD67遺伝子にtTA2をノックインしたターゲティングベクターを利用して相同組み換えのおこったES細胞を胚に導入することにより、キメラマウスを作成した。キメラマウスと野生型マウスとを交配して、GAD67-tTA2マウスを作成した。今後は、tetプロモーターの下流にGAD67 cDNAを配置したトランスジェニックマウス(tet-GAD67マウス)を作成し、GAD67-tTA2マウスと交配し、誘導型GAD67ノックアウトマウスを作成する。 完全型GAD65ノックアウトマウスと野生型マウスの網膜について、組織学的解析した結果、両者に差異は見られなかった。完全型GAD67ノックアウトマウスの胎児標本について検討した結果、92%(n=24)に口蓋裂、43%(n=40)に臍帯ヘルニアを観察した。一方、完全型GAD65・GAD67ダブルノックアウトマウスでは、全例(n=4)で口蓋裂と臍帯ヘルニアの両方を観察した。今後は、口蓋形成および腹壁形成において、GABAが関与する決定時期をきめる目的で誘導型ノックアウトマウスを利用する。
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