2007 Fiscal Year Annual Research Report
視床皮質投射をモデル系とした軸索の標的認識・分枝形成の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
18300105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅生 紀之 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教 (20372625)
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Keywords | 大脳 / 層構造 / 視床 / 軸索枝分かれ / 神経活動 |
Research Abstract |
発生期の神経回路形成においては軸索誘導分子によるメカニズムが中心的な役割を果たすことが明らかになってきたが、ニューロンの発火やシナプス活動がそれを修飾する作用をもつことも古くから示唆されている。しかしながら、神経活動に依存的な修飾機構については不明な点が多々ある。本研究では視床皮質投射をモデル系として、枝分かれ形成を含む標的認識における神経活動による修飾機構を明らかにすることを目指した。 私たちは視床-大脳皮質共培養を発生期のげっ歯類の脳から作製し(生後1日ラットより大脳切片を、胎生期16日ラットから視床切片を取り出す)、皮質内の視床軸索の枝分かれをeyfp (enhanced yellow fluorescent protein)ベクターを少数の視床細胞に導入することによって調べてきた。これまでに、視床・皮質細胞の神経活動が弱まると、視床軸索の枝分かれ形成も減少することが明らかになっている。本研究では、特に視床、皮質細胞の電気的活動を別々に制御することにより、どちらの活動が必須であるかを検討した。そのために、内向き整流特性を持つカリウムチャネル(KIR2.1)を視床細胞または皮質細胞に過剰発現させ、視床軸索の枝分かれ形成を調べた。 その結果、視床細胞にKIR2.1を導入した場合、皮質細胞に導入した場合、いずれの場合も視床軸索の枝分かれ形成は、コントロールによりも優位に減少することが判明した。以上より、層特異的な視床皮質投射が形成されための分子機構が働くためには視床、皮質の両者、言い換えると、シナプス前後の細胞の両方の活動度が高いことが必要であり、形態的結合性にヘッブ則が成り立つことが示唆された。
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Research Products
(5 results)