2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18300109
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
持田 澄子 Tokyo Medical University, 医学部, 教授 (30096341)
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Keywords | シナプス / シナプス小胞 / 神経伝達物質 / 開口放出 |
Research Abstract |
長期培養ラット上頸交感神経節細胞間に形成されたコリン作動性シナプスのシナプス前神経細胞に、1)ミュータント遺伝子導入による異常蛋白強制発現、2)siRNA導入による蛋白ノックダウンによって、微小管モター蛋白分子KIF5B結合蛋白質であるシンタブリンの機能阻害を起こし、電気生理学的手法を用いて神経伝達物放出変化から解析されるシンタブリンの生理機能の究明を試みたところ、(1)シナプス形成率の減少、(2)単独シナプス応答、及び高頻度刺激による繰り返し記録されるシナプス応答の減少、(3)高頻度刺激によって枯渇したシナプス小胞の充填速度の著しい減速、(4)短期シナプス可塑性の2発刺激による2番目のシナプス応答の減少、AugmentationとPTPの著しい減弱、が観察された。(3)(4)は、ATPの細胞内への注入によって、回復の傾向が認められた。 シンタブリンは、神経終末にミトコンドリア、アクティヴゾーン蛋白質のバスーン、そしてSNARE蛋白質のシンタキシンを運ぶ神経軸策カルゴ蛋白質であり、シンタブリンの機能阻害は、(1)から(3)に挙げたようにシナプス伝達の減退を誘引し、さらに(4)に挙げたように短期シナプス可塑性の出現が著しく阻害された。これらの結果は、シンタブリンが、シナプス伝達を担う重要な蛋白を軸策に輸送するばかりでなく、シナプス伝達強化発現に機能するオリガネルをも神経終末に運搬する非常に重要な蛋白質であることが判明した。
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