2009 Fiscal Year Annual Research Report
初期視覚系における輪郭線中の刺激特徴統合の神経メカニズムの研究
Project/Area Number |
18300111
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 南 National Institute for Physiological Sciences, 生体情報研究系, 准教授 (20311194)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 視知覚 / 折れ曲がり |
Research Abstract |
本研究は輪郭線中に埋め込まれた折れ曲がり刺激に対する刺激選択性を詳細に調べることにより物体の形状を表現する神経メカニズムを明らかにすることを目的とする。この為に麻酔下のサル第二次視覚野より長時間安定な細胞外記録を行い受容野内外の局所的な入力の時空間特性を探った。これまでの結果は折れ曲がり表現の形成において受容野内の局所情報に加えて受容野外からの文脈依存性の修飾作用が重要な役割を果すことを示す。引き続き大澤五住教授(大阪大学)らと共同でLSRC逆相関法による受容野の時空間特性と折れ曲がり刺激選択性との関係を調べた。逆相関法による記録ではもっぱらランダムノイズ刺激を用いてきたが、鋭角の折れ曲がりに選択性をもつニューロンでは反応が著しく抑制されるケースが多々みられた。また第一次視覚野からの記録結果について抑制入力を含む線形モデルによる解析を行い、各半直線成分に対する方位選択的な興奮性および抑制性入力の寄与を第二次視覚野のデータと比較した。第一次視覚野、第二次視覚野双方における折れ曲がり選択性の形成が加算モデルで説明できることが明らかになった。半直線成分に対する抑制性入力が鋭い折れ曲がり刺激選択性の形成に寄与することが示された。最適な半直線成分の方向は、受容野内に呈示した短直線で調べた方位選択性と一致していた。一方反対方向の半直線成分に対しては抑制がかかること、最適な折れ曲がり刺激ではこうした抑制が効いていないことが示された。また同程度の反応を引き起こす半直線間の組み合わせはもっぱら開いた折れ曲がりの表現に寄与しており、反応が非対称な半直線間の組み合わせが狭い角度の折れ曲がり表現に寄与していることが示された。刺激選択性の結果からは第一次視覚野のニューロンは方位選択性が強く依存すること、第二次視覚野の方が様々な開きの折れ曲がり刺激の表現に適することが示された。一方モデル解析の結果からはそのメカニズムが共通することが示された。階層的な結合関係を通して第一次視覚野、第二次視覚野双方が折れ曲がり選択性の形成に寄与することが示唆される。
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Research Products
(2 results)