2006 Fiscal Year Annual Research Report
嗅球から嗅皮質へと至る二次嗅覚神経回路の構築・機能への分子遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
18300112
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉原 良浩 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, チームリーダー (20220717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 信彦 独立行政法人理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, 研究員 (70332335)
吉原 誠一 奈良県立医科大学, 先端医学研究機構生命システム医科学分野, 助手 (90360669)
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Keywords | 嗅覚系 / 神経回路形成 / ゼブラフィッシュ / 嗅球糸球体 / BACトランスジェニック / 匂い分子受容体 / 階層的発現調節 / 蛍光蛋白質 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュはその生物学的特性や遺伝学的実験への応用性などから、発生生物学研究において非常に有用なモデル脊椎動物である。また嗅覚神経系に関してマウスなどの哺乳類と比べると、匂い分子受容体(OR)遺伝子数及び嗅球上の糸球体数が1/10と少なく、神経回路も比較的単純であるという利点を持つ。これまでに私たちはトランスジェニック技術を駆使することにより、ゼブラフィッシュにおける2つの嗅覚神経経路の相互排他的軸索投射、嗅細胞軸索投射におけるRobo/Slit軸索ガイダンスシステムの重要性などを報告してきた(J.Neurosci.2005;Development 2005)。 本年度はゼブラフィッシュにおいて特定の嗅細胞の軸索投射を可視化する目的で、嗅覚受容体遺伝子クラスターを含むBACを由来とし、2つの嗅覚受容体のコーディング領域をそれぞれ異なるGFP誘導体(YFP、CFP)に置換したコンストラクトを作製した。このBACコンストラクトを導入したトランスジェニック系統を解析したところ、GFP誘導体は繊毛を持つ嗅細胞のうちの一部の細胞群で発現しており、その軸索は嗅球の内側部に位置する特定の糸球群へ投射していた。またこのような特定の糸球への投射様式は、嗅覚神経回路の発達過程にある稚魚においても同様に観察された。さらにGFP誘導体を発現する嗅細胞におけるOR発現パターンを詳細に解析した結果、ORの選択はランダムではなく、置換されたOR分子と同じサブファミリーに属するORが特異的に選択されていることを見出した。このことから、嗅細胞におけるOR発現選択機構において階層的な制御メカニズムが存在することが示唆された(J.Neurosci.2007)。
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Research Products
(5 results)