2007 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイト系譜細胞の発生・分化・機能発現におけるTROYの役割
Project/Area Number |
18300116
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 Wakayama Medical University, 医学部, 教授 (00135691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60230108)
久岡 朋子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00398463)
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Keywords | 腫瘍壊死因子 / 受容体 / スーパーファミリー / 星状膠細胞 / 血管透過性 / 発生・分化 |
Research Abstract |
TROY固有のリガンドの有無を検討するために、TROYの細胞外ドメインとヒト免疫グロブリンのFc部とのキメラ蛋白(TROY-Fc)を用いて免疫組織染色を行ったところ、脳の血管周囲のアストロサイトに陽性反応が認められた。そこで、TR0Yの生体内での役割を検討するため、TR0Y-Fcを過剰発現することによりTROYのシグナリングをブロックするトランスジェニックマウス(TROY-Fc Tg)を作製した。このTgマウスの脳を電子顕微鏡にて観察したところ、血液-脳関門(blood-brain barrier,BBB)のアストロサイトの終足に水腫様の変化を認めた。Tgマウスにおけるアストロサイトの終足の異常から、BBBの透過性亢進の可能性が考えられたので、異なる分子量のトレーサー(horseradish peroxidase,biotin,microperoxidase,dextran,Hoechst,dye)を血管内投与後、脳血管外への漏出の有無によりBBBの透過性亢進を検討した。その結果、microperoxidase、biotin、Hoechst dyeの血管外への漏出を認めた。その原因、及びメカニズムを検討するために、Tgマウスにおいてアストロサイトの細胞骨格蛋白や突起の形成に関与する分子の発現レベルをWestern blot法を用いて野生型マウスと比較検討した。Tgマウスの脳においてはSSeCKSやClaudin12が減少していた反面、VEGFは増加していた。これらのことから、TROYのシグナルは、アストロサイトによるBBBの形成、成熟、及びその維持に重要な役割を担っている可能性が示唆された。 また、アストロサイトにおけるTROYのシグナルの機能を解析するために、in vitroでヒトグリオーマ細胞株U251にTROYを過剰発現させた結果、下流のシグナル伝達経路として知られているNF-kB、及びJNKの活性化が認められ、さらに、分化したアストロサイト様の突起の伸展が認められた。このことは、TROYのシグナルがグリオーマの分化を誘導した可能性を示唆する。
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Research Products
(4 results)