2007 Fiscal Year Annual Research Report
L、D-セリン代謝連関システムによる神経機能制御の遺伝子改変マウス解析基盤形成
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18300125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古屋 茂樹 Kyushu University, バイオアーキテクチャーセンター, 教授 (00222274)
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Keywords | アミノ酸 / セリン / ノックアウトマウス / 代謝疾患モデルマウス |
Research Abstract |
本研究課題は、遺伝子改変によって作出したセリン合成不全モデルマウスを利用して脳内セリン量とL,D-型変換を人為制御可能なモデル動物実験系を確立し、その特性付けからセリン代謝異常と高次神経機能の連鎖を理解するための解析基盤プラットフォームの形成を目的としている。昨年度(平成18年度)は,Phgdh発現低下変異マウス(Phgdh^<Δ4,5/neo>)と、アストロサイト特異的Phgdh K0 マウス(hGFAP;:Cre:Phgdh^<flox/flox>)の作成及び解析を行っていた。後者は昨年度末に作成に成功し、その後の検討により、胎生致死とならない,生後死亡率が低い,♂個体が交配可能である、などの特徴を持つことがわかった。さらに、発現低下変異マウスに比べ、通常の飼育条件で充分な個体数の確保が可能であったので,基本表現型解析を行った。その結果,以下の知見を得た。 1.Phgdhタンパク質は脳で正常対照(Phgdh^<flox/flox>)の15%以下に低下している。 2.アミノ酸分析の結果,脳主要領域でセリンが正常対照の15-30%程度にまで低下していた。特に大脳皮質と海馬での減少が顕著であった。血清や肝臓のセリン含量に有意差は認められなかった。 3.グリシンは、大脳皮質、海馬、視床下部などで有意に低下しているが、正常対照の60〜80%の含量が維持されていた。 4.正常対照に比べ脳重量が有意に少なく,小頭症を呈していた。さらに低体重であり,全身レベルで軽度の成長遅滞が認められた。 上記の表現型は,ヒトセリン合成不全疾患の症状を再現しており,今後はアストロサイト特異的Phgdh KO マウスをモデル動物として集中的に解析することにした。現在同マウス脳の形態変化の詳細と,D-セリン動態の詳細な解析を行っている
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