2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質-大脳基底核ループによる動的運動制御機構の解明
Project/Area Number |
18300135
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
南部 篤 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授 (80180553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 伸彦 生理学研究所, 統合生理研究系, 助教 (80296053)
橘 吉寿 生理学研究所, 統合生理研究系, 助教 (50373197)
知見 聡美 生理学研究所, 統合生理研究系, 助教 (30396262)
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Keywords | 大脳基底核 / 淡蒼球 / 随意運動 / 大脳基底核疾患 |
Research Abstract |
サルに上肢を使った遅延期間付きの到達運動課題を訓練しておく。訓練が完成後、一次運動野上肢領域(MI)、補足運動野上肢領域(SMA)を電気生理学的に同定し、刺激電極を設置する。回復後、薬物注入と記録が同時に行える電極を淡蒼球に刺入し、主に投射ニューロンから記録を行ったところ、以下のような結論を得た。 (1)大脳皮質刺激に対して、淡蒼球ニューロンは早い興奮、抑制、遅い興奮の3相性のパターンで応じる。課題との関連を調べると、遅延期間に応じるものや、運動そのものに応じるものなどがあった。また、反応のパターンとしては、抑制されるものもあったが、多くは興奮性応答を示した。 (2)記録している局所にNBQX(AMPA/kainate受容体の拮抗薬)とCPP(NMDA受容体の拮抗薬)の混合液を局所注入したところ、大脳皮質刺激による早い興奮と遅い興奮は減少した。それに伴って、運動時の興奮性応答も減少する傾向にあり、なかには抑制性反応に転じるものもあった。 (3)さらにgabazine(GABA_A受容体の拮抗薬)を注入すると、大脳皮質刺激による抑制が減弱し、それに伴って、運動遂行時の反応も殆ど消失した。 以上の実験結果は、淡蒼球での興奮性応答は、視床下核からのグルタミン酸入力によるものが大きいこと、また、主な入力としては、視床下核に加えて、線条体からのGABA性入力であることがわかった。 一方、大脳基底核疾患の病態を調べる目的で、ジストニアモデルマウス、およびジストニア患者の定位脳手術に立ち会い、記録を行った。両者とも淡蒼球外節・内節の発射頻度が減少していると同時に、大脳皮質刺激によって淡蒼球外節・内節で観察される抑制が増強していることがわかった。この抑制の増強が、ジストニアの病態を考える上で重要であることが示唆された。
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