2008 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質-大脳基底核ループによる動的運動制御機構の解明
Project/Area Number |
18300135
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
南部 篤 National Institute for Physiological Sciences, 統合生理研究系, 教授 (80180553)
|
Keywords | 大脳基底核 / 淡蒼球 / 随意運動 / 大脳基底核疾患 / ジストニア |
Research Abstract |
大脳皮質-大脳基底核ループの病態生理を明らかにする目的で、大脳基底核疾患のうちジストニアの病態生理について調べた。モデル動物として、ヒト全身性ジストニアであるDYT1ジストニア患者の原因遺伝子であるDYT1を組み込んだ遺伝子改変マウスを用いた。このマウスは、持続的に回転運動をするなど行動が亢進している。筋電図を記録してみると、主動筋と拮抗筋の共収縮、持続的収縮などジストニアに特徴的な異常な筋活動を示した。覚醒下で大脳基底核から神経活動を記録すると、淡蒼球外節と内節において、バースト発射やポーズ(休止期間)を伴う発射頻度の減少が見られた。大脳皮質運動野を電気刺激すると、淡蒼球外節・内節において、正常例においては観察されない早い興奮とそれに引き続く長い抑制という応答が観察された。また、大脳皮質運動野の上肢領域と口腔顔面領域を刺激し応答を記録することにより体部位局在を調べたところ、淡蒼球外節・内節の体部位局在が乱れていた。以上の結果からジストニアの病態について考えてみると、大脳皮質からの入力によって、淡蒼球内節に生じる長く続く抑制が、視床・大脳皮質を脱抑制することによって、不随意運動が起こっていると解釈できる。また、体部位局在が乱れていることから、ひとつの体部位の運動を意図した場合、他の体部位の視床・大脳皮質にも興奮が広がることが予想され、これはヒトジストニア患者で見られる筋電図のオーバーフロー現象に相当すると考えられる。
|