2008 Fiscal Year Annual Research Report
NCマウスを用いた感染症とアレルギー疾患に共通する分子基盤の解析
Project/Area Number |
18300139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 民生 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90293620)
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Keywords | NCマウス / マラリア原虫 / アトピー性皮膚炎 / 脳マラリア / マラリア腎症 / 原因遺伝子群 |
Research Abstract |
1.Chr.9(Pymr1)以外にネズミマラリア原虫(Plasmodium yoelii 17XL)感染初期に原虫の高増殖性に関与する染色体領域を連鎖解析により探索し、Chr.1のセントロメア側にPymr3を見出した。ただし、この遺伝子座の効果はPymr1と比較してかなり小さいと推定された。一方、昨年度の解析により、P.y.17XL感染後期における原虫の排除遅延に関与する遺伝子領域として見出されたChr.8のPymr2領域について、NC.129X1-Pymr系統に、抵抗性の129X1系統由来のPymr2領域を導入したコンジェニック系統を樹立した。2.昨年度の解析によりP.b.ANKA感染時の脳マラリア発症にはChr.9(Pymr)に加え、Chr.1中央部(Cmr2)とChr17(Cmr1,H2領域)が関与していることが示唆された。そこで、脳マラリア感受性のNC.129X1-Pymr系統に、抵抗性の129X1系統由来のCmr1とCmr2を導入したコンジェニック系統を樹立した。3.NC系統と比較してNC.129X1-Pymr系統では、P.c.AS感染において重篤なネフローゼ症を発症する個体の出現頻度は低下した。しかし、腎臓には両系統ともに免疫複合体の蓄積による膜性増殖性糸球体腎炎が確認された。したがって、Pymr領域は腎炎発症には直接関与しないが、原虫の増殖を抑制することによりネフローゼ症を軽減する作用があると考えられた。4.昨年度に引き続き、Pymr1領域内に存在するアトピー性皮膚炎抵抗性遺伝子の存在領域の絞り込み作業を行った。原虫の高増殖性遺伝子とは少し離れた位置に皮膚炎遺伝子が存在することが確認されたが、正確な位置決定には至らなかった。その原因は、ダニ抗原塗布による安定的な皮膚炎の誘発が難しいためであり、確実に皮膚炎を誘発できる他の方法の検討を行った。
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Research Products
(3 results)