2007 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類モデルによるエイズ病態形成の分子基盤に関する研究
Project/Area Number |
18300142
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 智行 Kyoto University, ウイルス研究所, 准教授 (40202337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 栄治 京都大学, ウイルス研究所, 特別教育研究准教授 (70183176)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 病理学 / 微生物 / 獣医学 |
Research Abstract |
エイズの原因ウイルスであるHIV-1は、ヒトとチンパンジーにしか感染しないことから、アカゲザルに感染するSIVmacとHIV-1を組み合わせたウイルス(SHIV)を作製し、アカゲザルを用いたエイズの感染モデル系を我々は確立した。これまでにアカゲザルに種々の病態を呈するSHIV株が得られているので、強毒・弱毒SHIV分子クローンについて遺伝子レベル・培養細胞レベル・感染個体レベルで統合的に比較解析することによりSHIVの病原性に関与する素課程を明らかにし、エイズの感染病態への理解を深める事を目的とする。 強毒SHIV分子クローンと弱毒SHIV分子クローンの塩基配列を比較し、変異部位を部分的に交換した分子クローンを作製し、培養細胞レベルでの性状および感染サルでの病態やゲノム変異について比較解析を行なった。 培養細胞レベルでの性状解析結果からウイルスゲノムの5'側と3'側に独立にウイルス増殖を増強させる変異が存在することを明らかにした。弱毒・強毒クローンを5'側と3'側の約半分ずつを組み換えたウイルスをサルに接種したところ、サルによって強毒型、弱毒型あるいは中間型の病態を示すものに分かれた。感染サルの血漿中ウイルスの全ゲノム解析から、primer binding site、逆転写酵素、そしてenv-gp41領域の2カ所の塩基置換がin vivoでの病原性に重要であることが示唆された。 今回、SHIVの病原性に影響を及ぼすウイルスゲノム上の変異が4つの素課程としてクローズアップされたと考えられる。今後、それぞれの素課程が感染個体レベルでの病原性に与えるメカニズムの解明に向けて研究を進めたい。
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