2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍に対する新規超音波セラグノーシス・システムの開発
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18300175
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
馬目 佳信 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (30219539)
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Keywords | 脳腫瘍 / 超音波診断 / 超音波治療 / 音響化学療法 / マイクロバブル |
Research Abstract |
脳腫瘍、特にグリオーマは各種補助療法を行っても悪性の予後不良な疾患でありより有効な治療法の開発が望まれている。この際、本腫瘍は頭蓋外への転移を起こさないため手術後の局所再発さえ制御できれば患者の長期生存が期待できる。そこで本研究では超音波を用いマイクロバブルなどの超音波造影剤を利用して治療(セラピー)と診断(ディアグノーシス)とを局所で同時に行なうシステム(セラグノーシス)の開発を目指す。 本年度行なった成果は(1)脳腫瘍細胞株を用いて超音波照射条件決定を行なうための基礎となる立体培養系の確立、および(2)立体培養に対して治療効果が認められる超音波照射条件の確立である。 (1)ゼラチンをスキャホールドにした培養装置を作成しその中で各種ヒト脳腫瘍細胞株を立体培養した。この装置の中で腫瘍細胞は突起を伸ばし、超音波照射を行なっても通常の培養のように細胞が剥がれないことが示された。なお異なった接着様式の細胞を培養すると立体培養したときの形態は腫瘍細胞の種類によって多岐に渡ることが観察された。(2)振動数は頭蓋骨を通過することが可能でかつ十分な強度を脳内組織に与えることができる210kHzを選択した。超音波照射は2.61W/cm2の強度で照射時間依存性に脳腫瘍細胞の膜を破壊できることが示された。またこの効果は市販のマイクロバブル製剤で有意に増強されることも判明した。 脳への超音波照射は照射自体の安全性を確認することが大切である。次年度以降効果と安全性を測定しながら装置を組み立てるため実際の条件の最適化を行なっていく。
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