2006 Fiscal Year Annual Research Report
臓器内部血流のinsitu可視化にて胎児手術成績向上を目指した特殊内視鏡の開発
Project/Area Number |
18300178
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
千葉 敏雄 国立成育医療センター(研究所), 特殊診療部, 部長 (20171944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
絵野沢 伸 国立成育医療センター(研究所), 実験外科研究室, 室長 (40232962)
三輪 光春 浜松ホトニクス株式会社, 中央研究所第7研究室, 主任部員 (90393983)
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Keywords | 検査・診断システム / 内視鏡 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトを含む動物臓器内部の血流、特に子宮内胎児手術の代表的な症例である、双胎間輸血症候群(TTTS)の胎盤吻合血管レーザ凝固術において、吻合血管の血流を可視化する特殊内視鏡に関する装置開発を目的とした。生体組織中において近赤外波長領域(800〜900nm)に蛍光を発するインドシアニングリーン(ICG)を光造影剤として用いるICG蛍光画像化手法を利用することで、近赤外光に対して吸光度が低い血中ヘモグロビンを可視化するICG蛍光硬性鏡の開発を行った。 内視鏡としては直径10mmの硬性鏡をベースとして試作を行った。光源には通常用いられるキセノン白色光源に、蛍光帯域である800nm超の長波長をカットするローパスフィルタと光量調整板を加えた。撮像部には400〜950nmの広い帯域に感度を有するCCDカメラを用い、カメラの直前に可視光透過用ローパスフィルタと近赤外蛍光透過用ハイパスフィルタを電気的に切り替え可能な機構を搭載した。また、取得した画像の調整用に外部コントローラを用意し、従来の内視鏡と同様のコンパクトな構成とした。 蛍光ファントムを用い、可視光モード時と蛍光モード時で画像を明瞭に切り替え可能であることを確認した。また、妊娠カニクイザルから娩出した胎盤を用い、混濁した羊水に浸した状態で画像の評価を行なった。なお、この胎盤は医薬基盤研究所霊長類医科学研究センターの規定に従って採取され、供与されたものである。可視光モードでは全く見えない胎盤表面の血管が、蛍光モードに切り替えることで明瞭に観察することができた。さらに胎盤表面から数mmの深部を通る血管も観察可能であり、子宮内環境下でのTTTS治療に有効であることを確認した。 成果発表としては、国内学会で1件(平成18年12月)、国際学会で1件(平成19年4月)発表を行なった。また、現在、海外論文誌への投稿を1件準備中である。
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