2007 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経疾患における遂行機能障害に対する連続経頭蓋磁気刺激の臨床応用に関する検討
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18300180
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中馬 孝容 Hokkaido University, 北海道大学病院, 助教 (70281805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生駒 一憲 北海道大学, 大学病院, 教授 (70202918)
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Keywords | 連続経頭蓋磁気刺激 / パーキンソン病 / 前頭前野背外側部 / 第一次運動野 / modified Stroop test |
Research Abstract |
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)はさまざまな中枢神経変性疾患や脳卒中、精神疾患を対象とした治療効果の検討が行われている。長期間にわたりrTMSを行い、その影響について検討を行った。対象は外来通院しているパーキンソン病患者3名(全例女性、平均年齢は63.7±3.8歳)、罹病期間は12.0±3.6年、Hoehn & Yahr重症度分類はstageIIIで、UPDRSは27.7±1.5点であった。rTMSの刺激方法は、両側の前頭前野背外側部に5Hzの刺激を10秒間、片側10trainsずつ行い、総計1000パルスを投与した。刺激強度は短母指外転筋の運動閾値の80%の強度を用いた。磁気刺激装置はMagstim rapidを用いた。rTMSは北海道大学倫理委員会にて承認を受けており、全例にインフォームドコンセント行った。3症例のrTMSの刺激期間は8〜9ケ月で、一月に一度の刺激で行った。rTMS前((1))、3カ月後((2))、最終月((3))に評価を行った。評価項目は、10m歩行時間および歩数、握力、ピンチカ、カウンター数、modified Stroop testの施行時間である。結果は、3症例ともに有害な合併症は認めなかった。3症例の平均値で比較すると、10m歩行時間・歩数およびピンチカに関しては明らかな変化はなく、握力およびカウンター数に関しては軽度の上昇傾向がみられた。modified Stroop test 1における施行時間は変化がなかったが、modified Stroop test 2における施行時間の延長傾向がみられた。UPDRSは(1)での平均値は27.7±1.5で(3)での平均値は30.7±1.5と上昇していた。3症例の罹病期間は12.0±3.6年と長期にわたり、運動機能だけではなく、前頭葉症状や精神症状を合併してくる時期ではある。3例中2例にはすでに幻覚を自覚しており、前頭葉機能のmodified Stroop test 2の施行時間延長に影響をきたしたと考えられた。今回は3症例のため明らかなことはいえないが、握力やカウンター数に関しては数値の上昇傾向がみられ、rTMSを長期間定期的に行うことで、重篤な合併症なく、運動機能改善の可能性が推測された。今後はさらに症例数を増やして経過を観る必要がある。
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Research Products
(2 results)