2006 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児における書記リテラシー形成の実態調査と評価・指導臨床システムの開発研究
Project/Area Number |
18300183
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
廣田 栄子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (30275789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樺沢 一之 大東文化大学, 健康科学科, 教授 (70095785)
井脇 貴子 愛知淑徳大学, 医療福祉学部, 助教授 (60387842)
鈴木 恵子 北里大学, 医療衛生部, 講師 (40286381)
小渕 千絵 国際医療福祉大学, 保健学部, 講師 (30348099)
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Keywords | 聴覚障害児 / 書記リテラシー発達 / 書記リテラシー評価 / 人工内耳 / 聴覚活用 / コミュニケーションモード / 教育指導法開発 / 表記能力評価 |
Research Abstract |
聴覚障害児における書記リテラシー形成について、本年度は主に以下の実態調査(研究1)を実施し、要因解析のための基礎的なデータ収集を行った。 1)補聴による聴覚活用例の経過観察研究;幼児期に補聴を開始した成人例(中等度〜重度聴覚障害)21例に対して書記リテラシー・知能検査・社会適応状況などの総合評価を実施した。書記リテラシーについては81%が通常レベルであったが、19%は劣位にあった。書記リテラシー偏差値は言語性知能および、幼児期聴力程度と相関を認め、劣位例では短文読解・読速度領域の低下が顕著であった。 2)人工内耳埋込術例の経過観察研究;2〜5歳時に人工内耳を埋め込み、聴覚音声コミュニケーションの獲得を支援した学童74例について、書記リテラシー(読解)、言語発達、知的発達、語音聴取能力、発声発語等多面的評価を実施した。リテラシー達成度の個人差が大であったが、知的発達境界線児では、小学1年から2年に偏差値平均95.5から75.5に低下し、個別的な発達支援の重要性が指摘された。 3)手指法による教育支援例研究;小学部1〜6年生の高度聴覚障害児例18例について、読解の記述課題を用いて達成度を評価し、作動記憶および、構文理解力、知能検査言語性課題との関連性を検討した。読解達成度は小学4年レベルで困難を呈し、併せて読みの作動記憶、基礎的構文理解力の低下を認めた。 4)書記リテラシー表記能力の解析法の検討;小学校1〜6年生段階の聴覚障害児64例における連続絵課題作文を収集し、パソコンのテキストマイニング手法により表記サンプルを解析し、量的解析・係り意味解析・語彙解析について手法としての有用性を確認した。 以上、研究者の広域地域における聴覚障害児の書記リテラシーに関する実態を評価し、書記リテラシー発達に関わる主要な要因の解析と、教育支援法開発に必要な調査研究を行い成果を得た。
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