2007 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児における書記リテラシー形成の実態調査と評価・指導臨床システムの開発研究
Project/Area Number |
18300183
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
廣田 栄子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30275789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樺沢 一之 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70095785)
井脇 貴子 愛知淑徳大学, 医療福社学部, 教授 (60387842)
鈴木 恵子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40286381)
小渕 千絵 国際医療福祉大学, 保健学部, 講師 (30348099)
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Keywords | 聴覚障害児 / 書記リテラシー発達 / 書記リテラシー評価 / 人工内耳 / 聴覚活用 / コミュニケーションモード / 教育指導法開発 / 表記能力評価 |
Research Abstract |
本年度は、長期にわたり経過観察した聴覚障害児者における書記リテラシー実態調査資料について、発達に係わる主な要因を解析し、教育・支援開発に有用な以下の資料を得た。 1)補聴器装用例の研究; 幼児より経過観察した補聴器装用成人11例を対象として読書力検査、抽象語理解力検査、SALA失語症検査(語彙性判断・類似性判断・同音異義語読解・漢字単語と非語の音読・類義語判断課題)を実施し、抽象語読解力は被検者の教育歴・言語性知能要因と高い相関を示し、漢字単語音読は意味レベル親密度や心像性要因の関与が高い等、書記言語認知メカニズムの一端を解明した。 2)人工内耳埋込例の研究; 過去10年間に人工内耳埋込術とハビリテーションを実施し、1年以上経過観察した重度難聴児100例について、読書力検査3種を用いて術前、術後3・6・12ヶ月、1年ごとに書記言語力を調査した所、9歳以降、成績上昇は乏しく聴児と乖離し、人工内耳によっても発達の停滞(9歳の壁)を認めた。 3)手指法・聴覚口話法教育例の研究; 幼児より経過観察した補聴器装用聴覚障害学童13例の読書力検査を経時的に検討した。読解力が正常9歳レベルに到達時期は、構文力検査(助詞、関係節)得点と相関が高く、早期の構文力獲得が読解力に寄与した。また、記述式読解力検査の基礎的能力として言語性知能・作動記憶要因の関与が示された。 4)書記リテラシー解析法の研究; 聴覚障害小学生92例におけるテキスト書記資料(連続絵作文)341件について、テキストマイニング手法を用いて解析した。計量分析では高学年で文章数が増加し、係受け分析・主題分析(主部意味特性)では4・5年時に心理情感表記の増加など内容的向上を得たことから、統語レベルの解析からテキストレベルの発達を構成する要素についての発達的変容を評価できることが示唆された。
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Research Products
(56 results)