2007 Fiscal Year Annual Research Report
病院における聴覚障害者の受療時の対話支援用手話アニメーションの研究開発
Project/Area Number |
18300193
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森本 一成 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (00127169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 勝夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60077691)
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90236175)
北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20293821)
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Keywords | 手話翻訳 / 手話アニメーション / 手話通訳者 / 立体視 / 受療拒否 / コミュニケーション支援 |
Research Abstract |
病院において聴覚障害者と健聴者との円滑なコミュニケーションの支援を可能とする3次元手話アニメーション生成のために、画像表示空間での視角が手話認知に与える影響を検討した。評価実験の結果、胃部レントゲン検査用の手話文の読取り実験の正答率は3次元表示の方が2次元表示に比べ3.8%高かった。さらに、3次元表示の視角30°と60°においては、アバタが自然な手話を行っているように見えることが被験者の意見からわかった。また、遠近感を強調しすぎた場合に、上下方向の運動がなければ知覚しにくい事もわかった。このことから3次元表示において視角が30°付近から60°付近の間に適正な表示条件が存在すると考えられる。また、聴覚障害者の受療拒否の問題を解決するための方策を検討するために、聴覚障害者16名と健聴者31名を対象にマンモグラフィー併用乳がん検診を行い、問診表記入、検査および診察時の所要時間を測定した。検診後に乳がん検診受診に関する質問紙調査も行った。検診では、(1)手話通訳者や要約筆記を配備、(2)検査前に手話・字幕付きビデオで流れを説明、(3)貼紙により指示を分かりやすくするといった工夫をした。検査の所要時間は、健聴者と聴覚障害者で差がなかったが、問診表記入時間と診察時間は聴覚障害者の方が長かった。聴覚障害者は触診中の質問や応答が難しく、医師も結果の詳しい説明に筆談の限界を感じていた。医師・看護師とのコミュニケーションについて、健聴者は全員が「ほぼ通じた」と回答したが、聴覚障害者では「ほとんど通じなかった」が12%いた。また、結果説明の理解度は、健聴者では「よくわかった」が97%だったが、聴覚障害者では74%にとどまった。手話字幕つき説明ビデオや貼紙による指示は有効と考えられるが、双方向の意思疎通については更なる支援システムの検討が必要である。
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