2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18300209
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池上 康男 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (60092988)
|
Keywords | 車椅子駆動 / パワー発揮 / バイオメカニクス / 駆動速度 |
Research Abstract |
平成18年度は研究計画に従い、データの収集を主に行った。我々が開発した車椅子エルゴメータを用いて車椅子駆動時の発揮パワー及び駆動動作の測定を行った。車椅子競技用の車椅子は日常生活用の車椅子と異り、車輪が路面に垂直ではなく内側に傾いている(ネガティブキャンバー)ため、車輪が路面に垂直な場合に比べ路面抵抗が増加する。本研究で用いた車椅子エルゴメータでは車輪が駆動力伝達用と車輪保持用の二つのローラーの間で回転するため路面(平面)との摩擦に比べさらに抵抗が増加する。このため、パワーの測定において、エルゴメータ側に設定した負荷に対し、駆動時に実際に加わる負荷(実負荷)が大幅に増大し、パワーの測定に大きな誤差を発生させる。このため、本研究では車椅子をエルゴメータ上に設置した状態でエルゴメータの設定負荷0で、エルゴメータをモーターで回転させることにより車輪とローラーの摩擦による負荷(残留負荷)の推定を試みた。すなわち、モーターとローラーの間にトルクメーターを装着し、モーターとローラーの間で発生するトルクを回転数とともに測定した。その結果、車椅子スポーツ用のキャンバーの付いた車椅子では残留負荷が極めて大きく、無視できないことが明らかとなった。そのため、駆動パワーの測定に当たっては、被験者が車椅子に乗った状態で、残留負荷を測定し、エルゴメータの設定負荷値を補正することにより、より正確な負荷値を計算しパワーの測定精度を向上させた。しかし、頚椎損傷者のように、もともと上肢によるパワー発揮能力が小さい被験者では始動時に、慣性付加も加わるため、相対的に負荷が大きくなり過ぎていた。そのため、パワー発揮能力の小さい被験者に対しては予めモーター駆動によってエルゴメータの回転数を定められた値にまで上げておき、モーター駆動が外れた直後より全力駆動することでパワーを測定した。
|