2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動の継続が動脈伸展性を改善させるメカニズムの解明:血管内皮機能との関連
Project/Area Number |
18300215
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 清司 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (30282346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 譜也 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (70242021)
鰺坂 隆一 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (70151058)
家光 素行 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助手 (90375460)
宮内 卓 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (60222329)
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Keywords | 中心動脈伸展性 / 有酸素性運動トレーニング / 交感神経 / 一酸化窒素 / 中高年者 / 頸動脈コンプライアンス |
Research Abstract |
中心動脈伸展性は加齢とともに低下し、心血管系疾患の独立した危険因子となる。一方、有酸素性運動の継続は、加齢に伴う動脈伸展性低下を抑制することが報告されているが、その機序は明らかとなっていない。今年度は、有酸素性運動トレーニング介入に伴う中心動脈伸展性改善に交感神経活動や一酸化窒素(NO)産生能・利用能の変化が寄与しているかを検討した。運動習慣、喫煙習慣、心血管系疾患を有さない中高年者6名に3ヶ月間の持久性トレーニング(60-75%HR reserve,30-40分間,3-5回/週)を施行し、その前後に動脈伸展性を測定した。動脈伸展性は、超音波装置を用い、(1)安静時、(2)交感神経遮断薬(フェントラミンメチル)投与時、(3)交感神経遮断薬+NO合成酵素阻害薬(L-NMMA)投与時の頚動脈コンプライアンスを測定した。ベースライン(安静時)の頚動脈コンプライアンスはトレーニング後に有意に増大した。トレーニング前は、頚動脈コンプライアンスは交感神経遮断薬の投与でベースラインよりも有意に増大し、交感神経遮断薬とL-NMMAの同時投与でベースラインよりも有意に増大した。一方、トレーニング後には、交感神経遮断薬を投与しても有意な変化を示さず、交感神経遮断薬とL-NMMAの同時投与でベースラインよりも有意に低下した。ただし、交感神経遮断薬およびL-NMMA投与下の頚動脈コンプライアンスは、トレーニング前に対してトレーニング後で有意に低値を示した。以上の結果は、中心動脈伸展性がNOによって調節されているが、有酸素運動トレーニングに伴う改善にNOは寄与しておらず、交感神経活動の変化が関与している可能性があることが示された。
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