2007 Fiscal Year Annual Research Report
運動の継続が動脈伸展性を改善させるメカニズムの解明:血管内皮機能との関連
Project/Area Number |
18300215
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 清司 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30282346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 譜也 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (70242021)
鰺坂 隆一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70151058)
家光 素行 奈良産業大学, 教育学術研究センター, 講師 (90375460)
宮内 卓 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60222329)
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Keywords | 中心動脈伸展性 / 有酸素性運動トレーニング / エンドセリン / エンドセリン受容体遮断薬 / 中高齢者 / 頸動脈コンプライアンス |
Research Abstract |
大動脈や頸動脈などの中心動脈の伸展性は加齢とともに低下し、心血管系疾患の独立した危険因子となる。一方、有酸素性運動の継続(トレーニング)は、加齢に伴う動脈伸展性の低下を抑制する。しかし、有酸素性運動トレーニングが動脈伸展性を増大させるメカニズムは明らかにされていない。今年度は、血管内皮細胞が産生する血管収縮物質エンドセリンに着目し、有酸素性運動トレーニングによる中心動脈伸展性の改善にエンドセリンが寄与しているか否かについて、エンドセリン受容体遮断薬を用いて検討した。運動習慣、喫煙習慣、心血管系疾患を有さない中高齢者7名に3ヶ月間のウォーキングを中心とした有酸素性運動トレーニングを実施し、そのトレーニング前後の安静時(投薬無し)およびエンドセリン受容体遮断薬投与時(急性投与の安静時)に動脈伸展性を測定した。動脈伸展性は超音波装置を用いて、頸動脈コンプライアンスを評価した。有酸素性運動トレーニングにより、血中エンドセリン濃度は有意に低下した。安静時(投薬無し)の頚動脈コンプライアンスは有酸素性運動トレーニング後に有意に増大した。すなわち、有酸素性運動トレーニングにより、中心動脈伸展性が増大した。また、エンドセリン受容体遮断薬投与の影響は、有酸素性運動トレーニング前は遮断薬の投与により、頚動脈コンプライアンスは有意に増加したが、有酸素性運動トレーニング終了後には、遮断薬を投与しても頚動脈コンプライアンスは変化しなかった。すなわち、中心動脈伸展性はエンドセリンによって調節されており、有酸素性運動トレーニングに伴う中心動脈伸展性の改善にはエンドセリンの変化が関与していることが示された。
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