2007 Fiscal Year Annual Research Report
運動時のストレス反応とパフォマンスに及ぼす脳幹の新規ペプチドの役割
Project/Area Number |
18300216
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 英昭 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50221346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 隆彦 三重大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60293776)
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
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Keywords | 走運動ストレス / PrRP / ACTH / 乳酸 / 視床下部 / 脳幹 / 脳室内投与 |
Research Abstract |
本研究では、PrRPを事前投与した際にみられる運動時のストレス応答の減弱が視床下部を介するかどうか検証した。作業仮説としては、PrRPの脳室内投与が、PrRP神経の投射部位であり、走運動時のストレス反応発現に関与する視床下部の室傍核(小細胞系,pPVN)/視索上核(大細胞系,SON)で発現するc-Fos陽性細胞を減少させるかどうかを検証した。c-Fosは細胞興奮マーカーとして知られる。実験ではWistar系雄ラットを用い、予め麻酔下で側脳室内にカニュレーションを留置した。ラットはその後、二週間の走行学習を施した後、走運動テスト(分速25m×30分)を行わせた。その際、予め脳室内カテーテルを通じてPrRP(1nmol)を投与しておき、運動終了後に断頭し、脳を摘出し、速やかに凍結保存した。凍結脳から40μmの前額断連続切片を作成し、c-Fosの免疫組織化学をABC法にて行った。その結果、対照群(vehicle投与群)に対するPrRP投与群のFos陽性細胞数は、視床下部pPVN/SONで44%/61%と顕著な減少(有意)を見せた。その他、PrRP神経の投射部位であるBNSTでも顕著な減少がみられた。これらの結果から、低容量PrRPの前投与によりもたらされる走運動時のストレス反応減弱の一部は、ストレス反応を調節する室傍核や視索上核の細胞興奮、あるいはそれにつながる他の視床下部神経の興奮性を減弱することで発現することが示唆された。この結果は、これまでの知見と総合すると、脳幹由来PrRPが視床下部を介して運動時のストレス反応を減弱する効果を有する、というこれまでの仮説を強く支持するものである。
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Research Products
(2 results)