2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウェブによるがん生存者の遠隔ストレスマネジメントシステム開発研究
Project/Area Number |
18300221
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宗像 恒次 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90132878)
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Keywords | がん生存者 / SAT-eプログラム / web. / ストレスマネジメント / 自己抑制度 / 感情認知困難度 |
Research Abstract |
目的:本研究は、急増するがん生存者のメンタルヘルス問題に対し、Web.技術およびSAT療法を用い、ストレスマネジメント効果を有する電子自己学習プログラム(SAT-eプログラム)を開発することである。事前調査としてDVD化した同プログラムでがん生存者を対象に実施したところ、自己イメージの変化を伴った抑うつ(SDS)の軽減効果、分泌性免疫グロブリンSlgAの増加効果があることを明らかにしてきた。当該年度の研究目的は、インターネットで無料配信したSAT-eプログラムによる、がん生存者のストレスマネジメント効果について検討することである。対象と方法:を008年8月〜2009年3月に、Web上でプログラムを完全に終了し、調査の趣旨を説明し同意を得られたがん生存者28名(男性12名女性16名)、健常者32名(男性21名女性11名)、合計60名を対象とした。がん生存者群の平均年齢は、37.3±14.6歳、健常者では37.1±11.1歳であった。測定項目:性別、年齢、職業、原発癌および現在の癌の種類、治療状況、心理指標:自己抑制度(自分の感情を抑制する度合)、感情認知困難度(自らの感覚や感情を鈍化させ、我慢強く耐える傾向)。SAT-eプログラムは、約75分間の自らが愉しむ生き方への変容を目指した自己理解と、本来的自分に気づくイメージワークと、ストレスを溜めない生き方の目標設定コーチングである。プログラム前後での心理指標の変化を統計学的に検討した。結果:プログラム前後の心理指標を比較したところ、がん生存者群、健常群共にプログラム後に、自己抑制度(がん生存者z=-4.11,p〈.001、健常群;z=-4.212,p〈.001)、感情認知困難度(がん生存者z=-3.05,p〈.001、健常群;z=-3.64,p〈.001)の有意な低下を認めた。SAT-eプログラムによる心理指標の改善は、参加者がイメージワークによって、自らの感情を過度に抑えず、素直に自分を表現し、必要な時に周りに救援できる自己イメージへの変容が促されたためと考えられ、本SAT-eプログラムのストレスマネジメント効果が確認された。今後、大きなサンプルによる追試と、プログラムへの動機づけや簡略化が課題である。
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Research Products
(7 results)