2006 Fiscal Year Annual Research Report
小学校から中学校への移行期における算数・数学学習の質的変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
18300265
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大谷 実 金沢大学, 教育学部, 教授 (50241758)
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Keywords | 算数・数学科 / 移行期 / 質的変容 / 実証的研究 |
Research Abstract |
本研究は、小学校から中学校への移行期における児童・生徒の算数・数学学習の質的変容を、小学校・中学校の教師との協働による縦断的研究を通して実証的に明らかにし、その成果を踏まえて算数と数学の接続を高めるための改善事項を提言することを目的とした。この目的に対して、本研究は、次のような相互に関連する三つの達成目標を設定した。(ア)小学校6年算数の「数と計算」領域と中学校1年数学の「数と式」領域に焦点をあて、学習内容の接続性を配慮したカリキュラムを、児童・生徒の思考水準の発達を配慮しつつ再編成すること。(イ)小学校算数科から中学校数学科への移行を促進するために、両校の教員と大学教員が協働し研究授業を組織すること。(ウ)実際の授業過程の参与観察を通して得られた児童・生徒の質的データを分析し、具体的な数量の意味に基づく小学校での算術から、数量を文字で表し一般的原理に基づき処理する代数への移行を、首尾よく実現するための具体的改善事項を提言すること。 本年度は、上記の3つの課題の中の(ア)、そして(イ)の一部について、その解決を試みた。 (ア)の課題では,児童・生徒の「相等関係」の発達を視点として,小学校での数字の式と中学校の一次方程式との接続を促すために,「教育課程実施状況調査」による児童・生徒の学習状況の分析,当該分野における内外の研究の整理としてフロイデンタール研究所のTALプロジェクトの理論的検討,オーストラリア並びにニュージーランドにおける先進的なカリキュラムの調査を行った. (イ)の課題では,「擬概念」の観点から,小学校における「数字の式」の指導計画ならびに,中学校の「一次方程式」の単元の研究授業の二次的な分析を行った. 研究成果の一端は,「日本数学教育学会第39回数学教育論文発表会論文集」並びに「教育科学数学教育」において発表を行った.
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