2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18300275
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
生田目 美紀 Tsukuba University of Technology, 産業技術学部, 教授 (20320624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 哲也 玉川大学, 脳科学研究所脳科学研究施設, 助教 (30384720)
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Keywords | 聴覚障害者 / オノマトペ / 脳計測 / fMRI検査 / アニメーション / 教材開発 / 言語処理過程 / ウェクスラー検査 |
Research Abstract |
本研究では、聴覚障害者が文字理解をする際に音韻処理と視覚情報処理がどのような関係性をもって行われているのかについて検討することを第一の目的とした。そのために、健聴者および難聴者がそれぞれ音韻化できる文字、音韻化できない文字を用い、音韻要素をより必要とする記憶課題(順序記憶課題)、ならびに視覚要素をより必要とする記憶課題(空間記憶課題)を作成した。それらを実行している間の脳活動をfMRIを用いて計測し、課題間の活動を比較することで明らかにした。 その結果、音韻記憶課題では、健聴者、聴覚障害者で共に左上側頭回前中部、左中側頭回前部、右上側頭回前部、右中側頭回前部において音韻化に関連した活動が認められた。また、聴覚障害者の音韻化に特異的に活動が認められた領域は右下前頭回、左上側頭回後部、左中側頭回中後部であった。つまり、聴覚障害者は聴覚入力がないにも関わらず内的に音を作り出しそれを音韻化と結びつけて処理している可能性があると考えられる。 空間記憶課題では、聴覚障害者の上側頭回の活動が健聴者より強く示された。また、左上側頭回後部のみにおいて文字知覚課題と空間記憶課題の間で有意な差が見出された。一方、文字知覚課題と順序記憶課題の活動の間に有意差はでなかった。これらの結果は、左上側頭回後部が順序記憶ではなく、空間記憶処理を行っている可能性を示唆する。聴覚障害者のように、視覚情報が言語処理を担う場合、これらに付随した空間記憶の処理を上側頭回が担えるようになった可能性がある。 これらを踏まえ、聴覚障害者教育の教材作成時には、音韻化しやすい文字表示、空間記憶を利用した説明などを考慮した教材を試作し、具体的に教育現場で使用した。アンケートの結果からはわかりやすいという評価を得ることができた。
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Research Products
(9 results)