Research Abstract |
本研究は,教員それぞれのIT活用指導力に応じた在校研修を実現するために,学校現場の教員のIT活用指導力の能力構造を明確にし,その能力構造に基づいたeコンサルテーションシステムを開発し,その効果を検証することを目的とした,3カ年の研究である。第1年次の平成18年度は,以下のように研究を進めた。 (1)これまでに蓄積されたIT活用授業に関する実践を収集した。それらの実践を,以下の観点で分類した。 ・教科 ・学年 ・単元 ・授業の目標 ・学習指導過程 ・活用されているITの種類 ・ITに期待する役割 適宜,複数の学校現場に参与しつつ,分類データの抽出粒度の調整を図った。その結果,現状ではまだ定性的とはいえ,IT活用授業とその指導法に関するデータベースが作成された。今後はこれを定量的な研究へと進めていく。 (2)高いIT活用指導力を持ち,認知されている先駆的実践者を対象とし,IT活用指導力の概念整理のための調査を行った。その結果,IT活用指導力は,普段からの学習指導力と,ITそのものに関する知識やスキルなどと不可分な存在であり,これらの基礎的な能力と共に育成していくべきものであることが示唆された。 (3)IT活用による学習指導が学校現場に根付いており,かつカリキュラムや教員研修が日本のそれと類似している英国,韓国を対象に,IT活用による学習指導の調査,利用されている教材,学習効果,教師教育の現状等について調査を行った。その結果,日本は決定的にITの整備が遅れており,それが活用の遅れに結びついていること,場合によってはそれが今日的な教員の力量の向上を妨げている恐れがあることがわかった。
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