2008 Fiscal Year Annual Research Report
比較水文学的手法による地域水文研究の総合化に関する研究
Project/Area Number |
18300312
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
近藤 昭彦 Chiba University, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (30201495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐 常源 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (80251198)
佐倉 保夫 千葉大学, 理学研究科, 教授 (70153947)
|
Keywords | 比較水文学 / 地域研究 / 中国 / 水収支 / 水質・同位体 / リモートセンシング / データベース / 水問題 |
Research Abstract |
海外調査およびリモートセンシングによる解析によりアジア各地の地域研究を実施した。平成20年度の海外調査は中国内蒙古自治区の乾燥地域、中国華北平原の半乾燥地域(特に白洋淀の水文環境調査)、韓国洛東江流域の大陸河川の特性、を対象にして実施した。リモートセンシングによる環境解析は、ロシア・沿海州シホデアリン山脈の森林変化、中国・三江平原における土地利用変化、中国・白洋淀の水面積変化、韓国・洛東江流域の洪水脆弱性地図の作成、ベトナム・フエラグーンの湛水特性図の作成、バングラディシュ・ガンジス川河口の地形変化、について衛星画像解析、地理情報解析を実施し、それぞれ成果を得た。また国内でも世界共通の課題として硝酸態窒素問題の調査に取り組んだ。同時にアジア全体を俯瞰する衛星画像データベースの構築を推進し、プロトタイプを完成させた。研究の目的である地域研究の成果の総合化であるが、空間的フレームワーク(ここでは衛星画像データベース)の中に個々の成果を位置づけるということで達成と考えたい。地域は多様性、個々の要素の関連性で成り立っており、地域を理解する普遍的な規範は存在しないからである。研究の過程で、水文環境変化とグローバル経済の関係を知ったことは大きな成果であった。大豆の輸入量を増やしているはずの中国における調査中に、政府が国内大豆農家から買い入れを拒むという情報を得たが、グローバル経済が地域の土地利用を支配し、水文環境に影響を及ぼすという事態は地域研究の総合化というよりも、個別の事例の集積、データベース化の重要性を認識させる結果となった。
|