2006 Fiscal Year Annual Research Report
高精度全球放射収支推定のための雲のミクロ・マクロ物理量の衛星・地上同時観測研究
Project/Area Number |
18310006
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高村 民雄 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (40272356)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹野 敏明 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (40183058)
中島 孝 東海大学, 情報デザイン工学部情報システム学科, 助教授 (70408029)
中島 映至 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (60124608)
|
Keywords | 雲の非均質性 / FMCW雲レーダー / 雲の光学的性質 |
Research Abstract |
2006年度は以下の研究成果を得た: 1 全球放射収支の高精度推定の要は、衛星データから推定される雲の光学的性質に強く依存する。こうした雲情報の解析は、従来軌道衛星を中心に用いられてきたが、雲や地表面状態等の日変化の調査には高い時間分解を必要とすることから静止衛星の解析が欠かせない。しかし、静止衛星の解析では利用チャンネルが軌道衛星に較べて限られることから得られる情報に一定の誤差が含まれることが避けられない。そこで、本研究では軌道衛星(Terra MODIS)と静止衛星(GMS-5)のほぼ同一場所、同一時刻における衛星画像を利用して、解析結果の違いとその原因を調査した。2003年3-4月、日本の南西海域を中心に行われたAPEX-E3(Asian Atmospheric Particle Environmental Change Studies)集中観測時のデータをもとに解析した結果、ケースによって両衛星の解析結果にかなり相違のあることが明らかとなった。その原因は3つに大別される;(1)雲の位相(氷雲、水雲)の違いによるもの、(2)GMS解析時の雲粒径の仮定によるもの、(3)雲の非均質性(雲頂の形状)に由来すると予想されるもの。(1)は雲頂温度の計測によって分類可能である。GMSは有効粒径を推定する3.7umチャンネルを持たないことから、解析時の仮定が極めて重要であることが示された。しかし、(3)は衛星観測角や太陽高度角によって変化することから、こうした雲の高精度推定には従来の並行平面大気の仮定から3次元の放射伝達を考慮した解析手法の導入が期待される。 2 雲の光学的性質の高精度推定の一貫として、衛星による雲パラメータの推定とこれに対応する雲の内部構造とその変動の関係を明確にすることを試みている。初年度は、千葉大学で開発したFM-CW型95GHz雲レーダの千葉大学構内での常時運用を開始した。また観測雲データの相対感度を向上させる手法として、レーダ反射強度の時間に関するコヒーレンス積分を検討した。その結果、1msecで収集する雲情報の時間積分でも必ずしもS/Nの改善が図られないことが判明し、雲内の変動が著しいことが分かった。今後、雲の性質や状態を加味しながらマクロな雲情報と、雲の内部構造を表すミクロな雲情報の相互の関係を明らかにする予定である。
|
Research Products
(11 results)