2008 Fiscal Year Annual Research Report
海水中の溶存有機物の光分解過程におけるラジカル類の役割解明
Project/Area Number |
18310010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐久川 弘 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80263630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 一彦 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (00236465)
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Keywords | ラジカル類 / 溶存有機物 / 光分解過程 / 過酸化水素 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き1)海水中一酸化窒素(NO)の測定法の開発を行った。すなわち、海水中で光化学的に発生したNOを化学プローブ(4,5-diminofluorescein)を用いて捕捉した後、HPLC-蛍光検出法で測定する方法を開発した。NOと4,5-diaminofluoresceinとの反応速度定数は、室内実験から(6.28±0.45)×10^6M^<-1>s^<-1>と見積もった。この方法は、海水試料5mLを分析に用い、pMからnMレベルのNOを検出可能である。検出限界は25nMであった。この方法を用いて、2)瀬戸内海海水(2008年8月及び10月の豊潮丸航海時に採取)および黒瀬川河川水(2008年10月採取)中NOの光化学的生成速度を求めたところ、それぞれ(5.3-32)×10^<-12>および(0.09.4-300)×10^<-12>Ms^<-1>であった。さらに、亜硝酸や硝酸などの栄養塩、過酸化水素、溶存有機炭素、溶存酸素などを測定した。これらのデータをもとに発生機構に関して考察した結果、海水および河川水中のNOの主な発生源は、亜硝酸イオンであることが明らかとなった。次に、3)上記の海水試料を用いて、ヒドロキシルラジカル(OH)の光化学的発生速度を測定した結果、(167-375)×10^<-12>Ms^<-1>であった。OHの発生源を調べたところ、すべての海水試料において、90%以上のOHは未同定の物質から発生したことが分かった。これはおそらく溶存有機物からの光化学的生成に因ると考えられる。最後に、4)3年間の溶存有機物の光分解過程にかかわるラジカル類の役割解明に関する研究成果をまとめ、2編の論文を作成し(投稿中)、1回の学会発表を行い、また最終報告書を作成した。
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Research Products
(3 results)