2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子・同位体組成に基づくバイオマス燃焼由来炭素系物質の時空間分布変動の解析
Project/Area Number |
18310012
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
熊田 英峰 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (60318194)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 昌男 海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (50344289)
|
Keywords | バイオマス燃焼 / ブラックカーボン / 不活性炭素種 / 炭素埋没量 / 放射性炭素 |
Research Abstract |
試料採取 東京薬科大学厚生施設棟(3F建)屋上で、2006年4月〜2007年3月の期間に都市大気エアロゾル試料(PM10)を合計67試料、岐阜大学流域圏科学研究センター高山試験地で、山岳大気エアロゾル試料(PMIO)を2006年5月〜11月の期間に合計57試料採取した。また、海洋地球研究船みらいのMRO6-041eg.2航海で、チャクチ〜ベーリング海14地点から柱状堆積物試料を採取した。 ブラックカーボン(BC)分析方法の検討 BC代替試料としてアセチレンカーボンブラック、グラファイト粉末を、天然有機物代替試料としてフミン酸、n-オクタコサン、リグニン、セルロース等を用いて加熱酸化による有機物除去の条件を検討した結果、375℃、200mL/分の空気気流下で24時間加熱することで天然有機物を除去し、BCを90%以上の回収率で分離できることがわかった。 この方法を環境標準試料NIST SRMI649aおよび1941aに適用し、BC濃度、BC/TOC比共に既報値と誤差の範囲内で一致することを確認できた。BC測定方法を国際比較した最近の研究では、BC/TOC比が一定範囲内に収まることをもって「信頼できそうな」結果としている。本研究で用いた前処理方法で国際比較の可能なBC濃度を得ることに成功したと言える。BCのδ^<13>Cは、1649aで-24.60±0.16‰(Δ=+1.85‰)、1941aで-26.28±0.08‰(Δ=-1.13‰)とどちらの試料でも既報値と一致しなかった。Currieらは、δ^<13>C-BCの測定機関ごとのバラツキが極めて大きいために平均値を出すことができないとしているが、本研究で得られたδ^<13>C-BCと既報との差が同位体比測定上の誤差や、加熱酸化時の炭化による可能性も現時点では排除できていない。したがって同位体的に信頼できる測定結果を得るためには今後より詳細な検討が必要である。
|